ODR Pickups/半蔵門ビジネストーク

株式会社ODR Room Network

このブログは、株式会社ODR Room Networkのお客様へのWeekly reportに掲載されている内容をアーカイブしたものです。但し、一部の記事を除きます。ODRについての状況、国際会議の参加報告、ビジネスよもやま話、たまにロードレーサーの話題など、半蔵門付近を歩きながら雑談するようにリラックスしたお話中心。

【ODRピックアップ】20130829 APECと国際法と国内法

【ODRピックアップ】20130829 APECと国際法と国内法

TradeSafe社の海外担当ディレクターとして、インドネシアのメダンで開催されているAPEC SOM meeting 2013に行ってきました。

 

TradeSafe社は、電子商取引サイトに対してその適法性や安全性を審査して、トラストマークを発行しています。同社は、2006年に、こうしたトラストマーク発行機関の国際連携であるATA(Asia-pacific Trustmark Alliance)に参加し、2009年と2010年には議長国を務めています。ATAは、その後、ヨーロッパのトラストマーク連携組織Euro-Label、南アメリカのトラストマーク機関であるeConfianzaとも調印し、組織名称をWTA(World Trustmark Alliance)に変更しました。

 

WTAは、先頃、APECのゲストメンバーとして認められ、ECSG(Electric Commerce Sub Group)の会議に出席することになり、議長国である台湾からの要請及びAPECが越境プライバシールールシステムの運用を本格的に開始したため、今回のAPEC会合にも出席をすることになりました。

 

APEC越境プライバシールールシステムの運用には、日本政府も参加を申請しています。

http://www.meti.go.jp/press/2013/06/20130607003/20130607003.html

こうした越境プライバシールール策定の動きは、電子商取引やグローバル化などで個人情報やプライバシーデータが越境して取り扱われることを想定して、既に2004年から開始されていました。

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/apec/soshiki/ecsg.html

WTAは、これまでもAPECからの要請を受け、ルール作りにメンバーが参加したり、越境トラストマークの策定、運営に関する情報提供を求められたりしてきました。TradeSafe社もWTAのメンバーとして、こうした関わりを持ってきました。

 

APEC越境プライバシールールシステムは、基本のルールの部分をAPECが提示した上で、各国が企業がルールに準じているか審査をする機関からの申告をAPECに提出し、APECがその機関を認証し、認証機関は自社のルールで企業を審査、モニタリングしてAPECお墨付きの認証を与えるというもの。問題が発生した場合は、各国の執行機関が記企業を取り締まります。(詳細は、経済産業省の発表資料をご覧下さい。http://www.meti.go.jp/press/2013/06/20130607003/20130607003-2.pdf

 

目的は、企業が越境してビジネスをする場合、具体的には米国の企業がWebサイト経由で日本の消費者に製品・サービスを販売する場合に、このAPECの認証マークがあれば、個人情報やプライバシーの扱いは信頼できますよというお墨付きを与え、消費者が安心して取引を行えること。それにより経済が活性化して、消費者も適正価格でモノが購入できるので嬉しい。。。という仕組みです。特に最近は、プライバシーが悪用あるいは乱用されるのではないかという懸念が問題視されているので、タイムリーな運用開始と思います。

ところで、こうした国際的な取り決めを、国内で行おうとするとき、国内での法令や慣習に矛盾する場合があります。例えば、オプトインとオプトアウト。米国ではオプトアウトが一般的。いろいろなオプションのチェックボックスが最初からONになっていて(つまりそのオプションを選択する)使いたくなければ外せというのオプトアウト。日本はオプトイン方式が主流で、使いたければ自分でONにしろというオプトイン方式。仮に国際的な取り決めがオプトアウトになった場合、日本での法制度あるいはガイドラインはどうしたらいいのか?どっちが重要?国際的な取り決め?国内のルール?(※注 APECのルールがオプトインという訳ではありません。あくまで例です)

消費者がオプトインだと思ってチェックを外さなかったら全部オプション契約されていた。。企業はルールに従っている。。消費者は知らなかった。。。こんな場合。

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国内法と国際法どっちが優先するかという議論は、実は憲法と条約どちらが優先?というところから始まります。日本の憲法98条1項には、”憲法は最高法規。これに違反した法律などは無効ね”とあると共に、同2項に、”条約や国際法規は誠実に遵守する必要があるよ”とあり、どっちが上なの?というのが微妙です。

この議論は、長く議論され随分と整理されていますが、とても複雑で、1)両者は同じナカマだけど、国内法が優先 対 いや国際法が優先 2)別の法体系だけど、国際的な約束は大事なので変形して国内法を決めよう という考え方があります。

また、国内法にする場合でも、明確に立法する国(イギリス、カナダなど)と手続を踏めばそのまま効力が出る国(アメリカ、ドイツ、フランス、イタリア、オランダ、ベルギー、オーストリア、スイスなど)があります。

 

じゃあ、条約(や国際慣習)と法律はどっちが優先?という議論では、条約優位説が主流で、憲法は変らないけど、法律は条約に適合しないといけないよね、というのが、正に98条の2項なのでしょう。

(参考:現代日本の憲法 法律文化社

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というわけで、今後は、企業のWebサイトには、P-MARKやTRUSTMARKに加えて、APECのマークが出てきます。思い浮かべたのは、F1のレーサーのユニフォーム。全身スポンサーのロゴワッペンだらけ。