半蔵門御散歩雑談/ODR Pickups

株式会社ODR Room Network

このブログは、株式会社ODR Room Networkのお客様へのWeekly reportに掲載されている内容をアーカイブしたものです。但し、一部の記事を除きます。ODRについての状況、国際会議の参加報告、ビジネスよもやま話、台湾たまにロードレーサーの話題など、半蔵門やたまプラーザ付近を歩きながら雑談するように。

【ODRピックアップ】20140807 過渡期をEnjoyする

【ODRピックアップ】20140807 過渡期をEnjoyする

 

ある社長が私に尋ねました。


「当社はなぜ負け組みになってしまったのかね?」

 

私はこう答えました。


「それはどの企業にもある事業変化の過渡期をEnjoyできなかったからですよ」

 

 この本=弁護士の仕事術(http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4415073891/mixi02-22/)には、「見方を変えればまったく違ったものになる」という項があります。要約すると、

海賊版の取り締まり関わる訴訟では、不正品を輸入する企業の立場に立てば、”大資本が弱小企業に不当な圧力をかけている”となるが、正規品のメーカーからみれば、”先行投資して作り上げた著作物の回収利益を、ただ乗りして権利を侵害している”」と。

 

一つの事柄、事象を見るのにどの側面で見るかでまったく違った風景が見えてくるのはよくあること。マーケティングの教科書で、未開の島に水虫薬を売りに行った二人のセールスマンのエピソードは聞いたことがあるのではないでしょうか(一人は、”ダメです。この島に水虫の人はいません。”と嘆き、もう一人は、”スゴい市場です。なぜなら誰も靴を履いていないんです。靴を売るビジネスもできますよ!”と歓喜した。)

 

 

 

企業の事業転換期におこる過渡期の足踏みを、失敗としてみるか、Enjoyすべき試練として捉えるか。TOPは、失敗の責任者を探すPenaltyに走るのではなく、人材を育成する好機としてEnjoyする姿勢を持ってほしいもの。

どんなにうまくいった事業でも、いや、うまくいけばいくほど、競争者が出てきて価格競争や技術競争、サービス競争になり、同じところにとどまってはいられなくなるでしょう。そして改良や改善にも限界があり、市場も飽和し、技術も陳腐化し、なによりもニーズが変われば、企業も変化していかざるを得ません。そして、この変化は魔法のようにドロロンといくわけがなく、必ず過渡期を経て新しい構造に転換していくしかないのです。そこには、変化をきらったり、恐れたり、将来への不安から無意識にブレーキをかける力も働き、また、新しいことであれば必然的に、試行錯誤も伴う。そして踊り場で足踏みをすることになります。

 

このとき。

 

つまり、思ったように事業転換がはかれないとき、事業がうまくいかないとき、「過渡期をEnjoy」することができれば、事業構造の転換を図れるのです。

企業は人。人はねたみやっかみ、あるいは返り咲こうとするものです。過渡期の踊り場では、こうした策略もよく起きること。そして、責任追及合戦になり、かつて冷や飯を食った人々が返り咲きを狙って、「改革の改革」を提案したりします。企業TOPも株主からのプレッシャーで、過渡期をEnjoyできず、失敗者にPenaltyを課し、再改革に同意してしまう場合も多いのです。