ODR Pickups/半蔵門ビジネストーク

株式会社ODR Room Network

このブログは、株式会社ODR Room Networkのお客様へのWeekly reportに掲載されている内容をアーカイブしたものです。但し、一部の記事を除きます。ODRについての状況、国際会議の参加報告、ビジネスよもやま話、たまにロードレーサーの話題など、半蔵門付近を歩きながら雑談するようにリラックスしたお話中心。

【ODRピックアップ】20150329 司法占領

【ODRピックアップ】20150329 司法占領

 

やっぱりビジネスは紛争でできているんですよね。

 

勿論、WIN-WINの関係がベストです。そういう関係も築けるのだとは思いますが、売り手と買い手は、なるべく高く売りたい立場と、なるべくいいモノ価値のあるモノを安く買いたい立場で鬩ぎあう関係です。味方同士の組織の中も、効率よく事業活動に貢献する人材を出来るだけ抑えた費用で雇用したい立場といい条件で雇用されたい立場があります。

実際に紛争にまでならないのは、それぞれが調整したり妥協したりして、関係を維持する努力をしているから。

 

最近新聞のトップニュースにならなくなったTPP。

もしかすると将来は全ての関税などの参入障壁が撤廃され、どこの国から何を買っても評価基準は一つ、いいモノが適性な価格で手に入る時代がくるのかもしれませんが、どの国にも参入を許したくない製品やサービスがある筈。最初は、相互にそれらを認めて、そうでない部分の自由な貿易から始めるのが現実的でかつ消費者へのメリットもあるのだと考えます。

 

気をつけるのは、個別の製品やサービスではなく、法律的議論のある部分だと認識しています。

 

TPP交渉の本質は法律議論(ダイアモンドオンラインの掲載記事。)

http://diamond.jp/articles/-/33143?page=2

 

 

例えば、自国の制度が結果的に参入障壁になっている場合があります。しかし、国の歴史や状況によって、制度は異なりますので、例えば国民皆保険制度の日本へ、そうでない国の保険会社にとってはこの制度が参入障壁となるでしょう。日本の国民にとって良い制度が、障壁と見なされてしまうという懸念からきています。

 

ISD(Investor-State Dispute settlement 投資家対国家紛争仲裁)条項というのも懸念とされています。

これは、損失をこうむった投資家が、投資受入国を訴えるときに、第三者機関(国際仲裁機関)による仲裁を受けるための規定です。訴えられるリスクが問題視されている場合もありますが、日本は圧倒的に海外への投資高が多いので、日本の投資家が不利にならないようにキッチリと交渉し、まとめておかないといけません。

 

海外に出て行く企業には、相手国の参入障壁がないほうがありがたい。しかし、自国の制度が結果的に参入障壁になっていれば、それもなくさないのは不公平とも言えます。やるにしてもやらないにしても、法律家の専門知識と国益(産業、消費者、現在、将来のバランス)に鑑みた検討をしないといけないでしょう。

 

最後に、一冊文庫書籍をご紹介。

鈴木仁志 著:司法占領(講談社文庫)

www.amazon.co.jp

では、参入障壁撤廃によって可能となった外資法律事務所により、日本国内の日本企業同士の商取引に、準拠法は米国法、裁判管轄も米国と規定された契約書が締結されていく世界が描かれています。

 

 こうならないように、交渉を進めていただきたいものです。