【ODRピックアップ】20150819 商号も商標も越境する
蒸し暑い夏。
東京オリンピックは、新国立競技場の予算でケチがつき、続けてロゴも類似のデザインがあってケチがついて、当事者たちは、心折れそうな気分なのではないかと推察しますが、”安心してください”。日本だけではないようですよ。
Googleが新しく設立した持ち株会社「Alphabet(アルファベット)」も、ドイツのBMW社に同名の関連会社があることが判明して、ちょっとした騒ぎになっています。
BMWのAlphabet社は、「法人の自動車利用に関連したサービスを提供」している会社で、一方のGoogleのAlphabet社は、持ち株会社であり、「製品を出したり、ブランド展開したりする考えはない」と表明しているので、実際に商標権侵害等の法的問題にはならないでしょうし、そのような見解が双方から出ています。
ロゴも社名も越境した相手とのトラブルでグローバルな時代を感じさせてくれます。
社名などの商号は、国内で会社を登記する時に調べますが、こちらのサイトで詳しいのでご紹介。
管轄する法務局では、商号の重複を調べることができますし、商号が商標登録されていれば、「特許電子図書館」の「登録商標の検索データベース」で検索することが可能ですから国内での重複はある程度事前にチェックできるでしょう。また、現在はインターネットで調べれば、ネット上で使用・公開されていれば検索もできますので、越境した重複もかなりのところまで調べることが可能と認識しています。検索お膝元のGoogleが調べなかったとは思えないので、前述のコメントのように、法的問題にはならないと判断したのでしょうね。
今後もこうした越境の商標や商号、著作権の侵害は多くなると思います。この点については、TPPで議論されている”非親告罪化”が大きなポイントになります。こちらのサイトがわかりやすくまとめてくれています。
親告罪とは、著作権侵害などで、著作者が告訴しなければ問題にならない方式。非親告罪とは、著作者でなくても告訴できる、といっても関係のない第三者が訴えるわけではなく、いわゆる法執行機関(検察とか警察とか)が告訴して、刑事罰を課すことになります。日本では、商標は最初から非親告罪、特許は最初は親告罪でしたが、平成10年より非親告罪化されています。
TPPでは、所謂海賊版を摘発しやすいように、非親告罪化の方向で議論されていますが、文化を醸成する著作権法という観点からは、議論がわかれるところです。