ODR Pickups/半蔵門ビジネストーク

株式会社ODR Room Network

このブログは、株式会社ODR Room Networkのお客様へのWeekly reportに掲載されている内容をアーカイブしたものです。但し、一部の記事を除きます。ODRについての状況、国際会議の参加報告、ビジネスよもやま話、たまにロードレーサーの話題など、半蔵門付近を歩きながら雑談するようにリラックスしたお話中心。

【ODRピックアップ】20151204 タイの電子商取引と消費者保護

【ODRピックアップ】20151204 タイの電子商取引と消費者保護

 

タイ訪問は、クーデター後の戒厳令下だった2014年8月以来の1年ちょっとぶり。相変わらずショッピングモールに入るにも周囲にゲートが設けられたセキュリティがあり、甘い所でも簡易センサー感知器がありますが、すっかり平和な感じにはなりました。観光客もずいぶん多くなったようです。

今回の訪問は、消費者政策の調査の一環ですが、提携先機関の候補調査でもあります。

 

1.(Office of Consumer Protection Board)OCPB

消費者保護委員会は、各省庁とは独立して消費者保護に関する政策立案や消費者対応を行っている組織です。消費者保護法、ダイレクト販売法、製造物責任法、消費者紛争手順の法、および10省20局の75の消費者関連法などを根拠に、B2B、B2Cともに取り扱っています。各76県に2名ずつ地方受付窓口の担当がおり受付を行ないます。その他1500の消費者クラブ、公認の消費者団体6つが存在しています。

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タイの消費者は、消費者の権利は理解しているものの、事業者がどのような義務を負っているか知識が不十分で、「問題があってもあきらめてしまいがち(ETDA)」な状態で、中学や高校生から消費者保護教育を実施しています。

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OCPBでは、今年4500件のマンション購入トラブル、観光ホテルに関するトラブル、自動車関連など消費者苦情を受け取っています。このうちオンライン取引に関するものは、97件で、消費者未着のケースが多くを占めています。また、45件の外国人からの苦情もあります。苦情は、窓口にくる場合、emailの場合があります。

最近では、問題となったU-FUNと呼ばれるねずみ講的な投資をつのる詐欺が発生し、現在も係争中だそうです。これは、日本でも成功しているというふれこみにもなっており、日本人としては悪い事例に利用されるのは気持ちのいいものではありません。

 

2.(Department of Business Development)DBD

商務省内の事業開発部門では、企業のeCommerceサイトに登録制を導入しています。まず、国籍がタイにあること、サイトのドメインがタイであることなどを基本に据えて登録し、扱う商品や会社の安定度等総合的に判断され認められると、トラストマークが発行されます。商務省としては、企業側への働きかけを通じて産業振興を計るのが役割ですが、このトラストマークで消費者に安心なサイトを目立たせ、より多くの消費者が訪れるというよい循環を目指しています。WTAのメンバー部門でもあります。

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未登録でeCommerceを行なうと罰金ですが、実際は登録はあまり進んでおらず、余り厳しくしすぎるとeCommerceへの意欲を削いでしまう可能性が捨てきれず悩ましい過程にあります。タイとしては、例えば規約をよくよまなかった消費者があとでクレームをしてきたケースでも、報告としては「消費者の理解を促す必要がある」として、「消費者は正しい」という方針のもとでeCommerceを振興していく計画です。

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3.(Electric Transaction Development Agency)EDTA

接見したシニアディレクターがイケメンのETDAは、ソフト的インフラの構築=eCommerceやePaymentおよびセキュリティ、標準化、法整備などを進める機関です。現在は、eCommerceに注力しており、越境はFTA,TPPなどを合わせて今後推進、セキュリティは随時キャンペーンを実施、法整備は前述の省庁などとの連携を進めています。

2015年に開始したOCCでは、2870件のオンライン苦情を受け付けており、そのうち579件が電子商取引の苦情です。今後は、様々な機関利用のコーディネーターとしてODRの国際カンファレンスなども実施していきたいと考えております。

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タイの平均年収は、140万円程度ですが、中央値は40万円最低賃金は515円/時間、ホテル勤務者でも40万円。物価はそれなりに高いですが、消費意欲は旺盛です。しかし、既に少子高齢化の流れにはいりつつあり、電子商取引の振興は其の後に続く越境取引への布石ともいえます。仮説ですが、人口増加期は、消費者保護よりも産業振興に力点があり、少子化高齢化で消費者保護が重視されるのかもしれません。