【ともか’s ピックアップ】20160510 ポケモンのサトシ、英語では"Ash Ketchum"??⑵
つづき。。
次は、文化的な単語の技を訳したものです。
- たたりめは英語で”hex”
祟り目とは、「弱り目に祟り目」(弱っているところに更に災難が重なる、という意味)ということわざからきていると考えられます。ポケモンの技においては、状態異常(やけど、まひ、どくetc。。)の相手にこの技をかけると通常より大きなダメージが与えられる、という効果があります。
祟り、という言葉だけを見ると、神や霊魂のような存在が人間に災いを与えるという意味があります。つまり、神がもたらすもの、に限られます。そもそも日本の神は本来、祟ることが前提とされている存在です。これは、呪いとは少し違っていて、神が人間に何か天罰を与えるときにおこる災いが「祟り」だとされています。難しいところですが、つまり起こってもしかたがなかった災難、といえるのでしょうか。(呪いは、人が不幸をもたらそうとして行うもの)
ここで”hex”の意味ですが、呪いやまじないといった意味があります。英語にも同じように「呪い」の意味をもつ単語はたくさんあります。(curseやjinxなど。。)しかし、きっと神がもたらす呪い、罰、という概念がないために、そのような意味を持つ単語が見当たらなかったのでしょう。そこで”hex”という単語が使われたのでしょうね。
次に、日本のゲーム特有の「かっこいい」技名を訳したものです。
突然ですが、日本の対戦ゲームや漫画には必殺技ってつきものですよね。そのすべてにかっこいい名前がついているかと思います。
例えば、『ONE PIECE』だったら主人公ルフィの「ゴムゴムのガトリング〜!!」とか。『ドラゴンボール』だったら「かめはめ破!」とか。『アンパンマン』にだって「アンパーンチ!」という立派な必殺技があります。
しかし、英語圏のスーパーヒーローたちはどうでしょう。例えば、マーベルコミックスの”Spider-Man”、”Captain America”、”Iron Man”など。だれも必殺技をもっていません。みんな戦う武器や戦法はそれぞれ特有の決まったものがありますが、とくに必殺技というものはありません。
そのために戦闘のときの攻撃に技をつけるというそもそものやり方がないので当然、それを訳すことも困難なのでは?
そこでポケモンの技を見てみましょう。
- 「でんこうせっか」は英語で”quick attack”
この技は、必ず先制攻撃できるすばやく相手に近づいて攻撃するものです。その意味では”quick attack”=すばやい攻撃、という訳は良いのかもしれませんが、すこし直訳すぎるような気がします。それよりも、”lightning-fast”などと訳した方が、電光のようにすばやい、という技の特性が表現できるのではないでしょうか?
- 「こごえるせかい」は英語で”Glaciate”
この単語は、凍らせる、氷にする、という意味です。この技は、相手に凍えるような冷気をふきつけて攻撃する技なので、凍らせる、という訳は間違ってはいないですが、「技感」が失われますよね。「こごえるせかい」というと、迫力もありますし、必殺技って感じがしますよね。(例えば、『ONE PIECE』の「氷河時代」と書いて「アイスエイジ」と読む技なんか、いかにも必殺技っぽいネーミングですよね)
(一方で、かっこよく訳されているものも見つけました!
「はめつのねがい」は英語で”Doom Desire”
直訳といってしまえば直訳なのですが、必殺技っぽくなっていますね。)
英語の方が、簡潔に短く単語を言い表せる言語かと思いきや、逆に日本語を英語に訳した場合の方が長い単語になってしまう場合があることに、ポケモンの技を訳してみることで、はじめて気がつきました。
日本語の方が、ひとつの単語に詰まった意味が多いということです。
(歌の翻訳なんかを例にあげると、同じ尺の中では、英語の方が、日本語よりたくさんの内容を詰め込むことができるのに。。尺単位で考えれば、英語の方がひとつの尺に詰まった意味は多いということです。)
こんな風に、こどものころになんの意味もわからず口にしていたポケモンの技や台詞。(きゅうしょにあたった!や、こうかはばつぐんだ!etc。。)
そんな慣れしたしんだ台詞も、英語と比較して考えてみると、その技の名前がどんな経緯で作られたか、より深く知ることができるような気がします。
Now let’s go visit the world of Pokemon!