【ODRピックアップ】20160518 信頼指標は、「ブランド」から「評判」へ遷るか
よく母がいったものです。
「新聞に載っているんだから信頼できるよ」
父が頷いています。
「TVでコマーシャルをやっているから大丈夫じゃないか」
1.ブランドが信用だった
私も含めて両親の時代には、品物やサービスに何をもって信頼を寄せていたかというと、前述のような、
- 大きなメディアに広告が掲載されたり、取り上げられたりしたこと
でした。そうした、公共の媒体(私企業ではあれど)が判断し、掲載したことは、
まさか違法行為や消費者を騙すようなことをするはずがない、
しかも、
- 数多く類似なものがあるなかであえて取り上げられたということは、それなりの信用を得たものであろう
だから、
- 買っても安心、
- 酷いことにはならないし、
- がっかりすることもないであろう。。。
信頼は、ブランド名で表現、判断されました。ブランドは、品質、サービス、性能などの中味が基本ですが、それらを消費者が購入して、使って認められることが必要です。そのための最初の入り口は、広告費というカネの力が必要で有効でした。
銀行は「信頼」を得るために大理石でできた柱や豪華な装飾品を配した建物をたて、伝統などをアピールすることで信頼性の高さを訴えていた。「オフィスにこれだけ金をかけられる私たちを信頼してください」というニュアンスがあった(以下のリンクより引用)
2.新しい取引形態、個人間取引やシェアリング経済では、信用は評判から
新しい取引形態=小規模、個人間の取引が普及してきて、信頼は、広告を頼りにすることが出来にくくなってきました。個人では財政的に広告にコストをかけることができないからです。また、オークションだけでなく、民泊のAirBnBや、タクシーのUberの登場は、「シェアリング経済」という形態も生み出しました。
これらの取引での評価基準は、ブランドではなく評判に変りつつあります。特に小規模、個人間の取引では評判が重要な評価基準になっています。
米国のオークションサイトeBayでは、購入者も出品者も、Reputationという評価ポイントで評価されます。よい取引をすれば相手からよい評価がつき、悪い行動をすれば悪い評価がつく。取引する人は一定の悪い評価がある人を取引対象から外すことができるので、悪い評価の多い人は、結果としてサイト=市場から閉め出されてしまうのです。いくら広告費をかけて宣伝していても、最終的には取引相手がつけてくれる評価で信頼が決まるのです。
例えば、
(出品者の名前の後ろに数字があります。クリックすると評価の詳細が表示されます)
eBayだけではなく、日本でのヤフオクでも、「評価」という名称で取引相手からの評価が蓄積公開され、取引者は、これを見て相手を判断し、取引を拒否することもできるようになっています。
この評判を信用し、評判を根拠に安心してAirBnBに泊まり、Uberに乗車できるようになってきました。反対にカネの力で評判を高めようとするとそれは悪評に繋がってしまうようになりました。
3.評判がブランドに
個人間取引やシェアリングだけでなく、通常の取引にも評判的な指標が判断基準になっている例も既にあります。
米国の民間機関であるBBB(ベタービジネスビューロー:商事改善協会)BBB 米国では、民間の企業を審査し、トラブル時にADRに応じることを条件に、信用マーク(トラストマーク)を発行しています。マークは企業の信用ランクに応じて付与され表示されています。
トラブルが発生したり広告適当でないと判断されると、信用ランクが下げられたり、場合によっては除名されたりもしますので、消費者は、企業のブランドや広告に頼るだけではなく、信頼できるかどうかを判断して、取引(購入)をすることができます。
米国では、約40万社が加盟しており、このマークから外れることは商売上の悪い評価となってしまいます。この仕組みは、今後の信用の仕組みのモデルになるかもしれません。ただし、課題は米国のように殆どの企業が加盟する状態にできるかどうかということ。
日本では、通販に限っていえば、日本通販協会 公益社団法人 日本通信販売協会【JADMA(ジャドマ)】 が正会員、賛助会員併せて680社が加盟しています。
また、TradeSafe社 株式会社Tradesafeは、WTAに加盟して国際的な審査基準により約350社にトラストマークを発行しています。
いずれも、企業の殆どが加盟するところまでに至らずですが、今後が期待されるところです。
それとも。。。
全部amazonにさらわれてしまうしまうのか。。。