ODR Pickups/半蔵門ビジネストーク

株式会社ODR Room Network

このブログは、株式会社ODR Room Networkのお客様へのWeekly reportに掲載されている内容をアーカイブしたものです。但し、一部の記事を除きます。ODRについての状況、国際会議の参加報告、ビジネスよもやま話、たまにロードレーサーの話題など、半蔵門付近を歩きながら雑談するようにリラックスしたお話中心。

【ODRピックアップ/半蔵門ビジネストーク】20161116 ODRについてAPECで話したこと

【ODRピックアップ/半蔵門ビジネストーク】20161116 ODRについてAPECで話したこと

 

先に番外編をアップしましたが、

www.odr-room.net

 

ベトナムのダナンで開催されたAPECのECSG(Electric Commerce Steering Group)

http://www.apec.org/groups/committee-on-trade-and-investment/electronic-commerce-steering-group.aspx

での第一セッションで、APECが推進中のCBPR(Cross Border Provacy Rules)の概要を共有するという”重要な”場面に登場できました。話している内容は、いつも話している、ある意味古い話です。

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(以下要約)

電子商取引の紛争の特徴

電子商取引の紛争は、基本的に少額紛争大量処理である。例えば、米国のeBayでは、年間6000万件の紛争が処理されているが、その金額は1万~5万円相当が中心と報告されている。したがってコストとスピードが非常に重要な要件となる。

また、越境となれば、準拠法と裁判管轄が、異なるため、通常の法的手続きで考えると、それらを決定するために時間を費やし、コストスピートともに大幅に超過してしまう。そうなると、代わりにADRが適切だが、今度は強制力の点で、決定を執行することが難しくなる。そのための手段の一つとしては、トラストマークが有効と見込まれている。いわゆる、ソフトな執行力である。

トラストマークのソフトな執行力とは、マーク発行者とEC事業者の事前の契約(マークを発行することで信用を供与するかわりに、紛争解決の決定には従うこと)、産業ごとの自主規制、および市場の評判による作用である。

 

越境紛争を扱う方法として、

1)伝統的な方法にのっとるなら、消費者が越境相手国の法的手続きにしたがって訴えるということになるが、それが認められるかどうかも含めて不明確であり、

2)仮に手続きが認められたとしても、コストと時間がかかり、電子商取引の紛争額に見合わない上に

3)結果を執行する上での執行力を担保できない可能性もある

4)何より、母国語以外での紛争では、十分な主張を展開できるかも難しく、法的な知識を持つ専門家でかつ言語的にも堪能な人を確保することも難しくなるので、(いずれも費用がかかるので)

 

もう一つの方法として

5)ADRにより、かつ、相手国の法的素地があり、かつ産業的な影響力のある組織と連携して行うことが、有効な方法だろうといえる。

 

ここからがCBPRに関連する部分であるが、

 

個人情報および取引に関するプライバシー情報

こうした他国の関係機関との連携によって紛争解決をする場合には、紛争当事者である消費者の個人情報および取引に関するプライバシー情報を相手国の機関に渡す必要がある。消費者は、個人情報が他国に渡る場合に、国内と同じように厳格に管理され、紛争の終了後は正しく確実に破棄されるのか、および、購買に関するプライバシー(例えば、アダルトグッズの購入情報など)が不正に利用される可能性はないか、決済情報が悪用されないかなどに不安を持っている。したがって、情報の受け渡しに関する法的なレベルでの提携機関間での契約およびデータ受け渡しにおける技術的なセキュリティ、データ保管に関するセキュリティ、消去に関するセキュリティ関するシステム的な確実性を求められる。

だから、ODRの立場からも越境プライバシーのルール化は期待されている。

 

システムについては、

1)言語

国内での管理システムは、各国で開発されることを前提とすると、国内の消費者とのコミュニケーションや内部の情報共有や管理は、母国語でのシステムが当然だろうが、他国の機関あるいは他国の消費者からの苦情を受付け、ADRを行うとなるなら、共通の言語が必要となる。それは現実的に考えると、英語が一般的になるだろう。そうなると、越境紛争として扱う案件については英語への翻訳が必要となるが、英語圏の指摘する自動翻訳でいけるようになるにはもう少し時間がかかるか、あるいは、紛争処理を自動翻訳で行えるかどうかは不明である。

 

2)データ

一時はODR FORUMのメンバーなどでも、共有のデータベースという概念が上がっていた事があった。(odrexchange.com)しかし、誰が管理するのか、費用負担はどうなるのか、セキュリティ的なリスクはどう考えるのか、などの課題が未解決のままであり、例えば、日本の越境消費者センター(CCJ)は、英語版の共有システムを公開し、相互に更新することを想定しているが、件数が増加してくると、自分のシステムにアクセスして登録更新をすることが効率面でもよいので、例えばBBBのシステムにCCJが入力するような流れになっている。相互に入力をすることになると、負担が増えてくる。次に考えられるのは、データ交換による半自動的なデータの交換方式だろう。データ項目などを共通化していくことになるだろう。

この点についての議論はまだ明確にはされていない。

 

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