【ODRピックアップ/半蔵門ビジネストーク】20170316 物流インフラの最終形
ウチでは、ペットボトルのミネラル水を通販で購入しています。500mlx24本を3箱、時々それに加えて2Lの6本入りを1箱。最近、ヤマト運輸さんの配送担当者で女性がその2箱を抱えて2階まで階段を上がってくることがあり、すごく悪いことをしているような気持ちになってしまいます。
1 物流業界のハードワーク
物流業界のハードワークが話題になっています。競争による単価下落、配達時間が長時間化し、再配達によるドライバーの負担、結果としての労働環境悪化による人手不足、ネット販売の拡大による配達個数の増大、、、等々を原因として、ついに、同社は、労働環境の見直し、未払い残業代の見直し、価格上げの検討、大手荷主(アマゾンなど)との契約再交渉などを宣言あるいは決定しています。
うちの父親は運送業でした。私がIT企業に就職する際にも、酒を一緒に飲みながら、
「お前はお前の道を行け」といいつつも、「いいか。どんなにITが発展しようとも、ものを届ける仕事はなくならない」と、寂しそうではありましたが、自信に溢れて誇り高く呟いたことを今でも思い出します。
2 何かを届ける。。。それはインフラの開発。
例えば、水。
嘗ては水は井戸や川から組み上げて運んでいたのに、水路を掘り、水道が整備され、下水も整備され、今や(日本では)水を運ぶ必要はなくなりました。冒頭のミネラル水は、新たな欲望の始まりか、不安の表れかもしれません。
ガス。
プロパンガスはガス屋さんによって運ばれてきましたが、都市ガスが普及するとガス管を通って家庭に、オフィスに届けられています。
灯ー>電気。
ロウソクや油を燃やして灯を取っていましたが、やがて電気が発明され、ただし、これは最初から誰も素人では運べなかったし、バッテリーの開発のほうが遅かったので、先に電線インフラが普及して、今に至ります。
しかし、気体や液体と違う物理的なものは、電気やガス、水道のようなコンパクトな共通インフラを構築するに至らず、未だに、運送業という人力を主要なリソースとしたインフラとなっています。
3 物流インフラとしての革新はできるのか?
親父の言った通り、今でも物流は最後に残された人力インフラ。
人的パワーに依存する部分については、前述のような、労働環境の見直しや価格改定などが進められていますが、水道や電気のような根本的なインフラとしての革新はできるのか?
通販では、ドローンによる配達の実用化に向けた取り組み、実験などが進みます。
課題は、障害物のある込み入った地域での実用化。空の渋滞、墜落事故などをどのように回避していくか。運ぶ重量にも限界がありそう。
宅配ボックスは?
これは再配達を減らす対応になりますが、業者によっては宅配ボックスを使用しない、できない?ケースもあるようで、抜本的には大きな革新にはならなそう。
コンビニ受け取り?
これも、再配達対応の要素が大きい。また、宅配の最大の特徴でもあるラストワンマイルを否定することにもつながり、宅配倉庫からコンビニ倉庫へ移せばいいだけの話でこちらも緩和策。
やっぱり革新といえるのは、物質伝送装置しかないのか。。。
ところで、個人的には、物流に感謝し、元物流業者の息子としては、せめて再配達を減らしていくのが当面のベストな選択肢ではないかと考えています。すなわち、
- 通販での配送は原則的に注文時に日付指定
- 調達後でないと確定できない場合は調達完了時点で日付指定
- 再配達は基本的には有料(物流業者が受ける)
これくらいなら、現状のシステムでも対応できるのでは。