SIerが落ちる穴【半蔵門ビジネス雑談】20190315
*または、エンジニアが落ちる穴?
とある商談で、旧知のSIerをお客様に紹介した。商談中なるべく同席するようにしていたが、感じる違和感。お客様には、情報システム担当者がいない。窓口交渉をしているのは代表経営者の方だ。ITにも通常レベルの造詣はあるが専門家ではない。エンジニアでもない。で、ある日気がついた。
SIerのエンジニアは、無意識にこれまで対応してきた大手企業の情報システム部門、つまり、システムの専門家と同じ切り口で相手(代表経営者)に対応しているのだ。
だから、例えばサーバーの構成で、SIer側のエンジニアは、このサーバーを入れて、このサービスを入れるとできることは、あれとこれ、と彼らにとっての当たり前を前提にして話を進める。だから、お客様の質問=それがどんなイメージで何が可能なのかわからない、という質問に対して、「これは、ボックス型の形状、1Uで。。。」などと説明しだす。お客様は、このサーバーを入れると何ができるようになるのか?をまずは知りたいのに。。。
結果として、お客様はSIerではなく、もう少しわかりやすいソリューションパッケージを用意している事業者に移ってしまう。技術力、総合力、インテグレーションの力は、SIerのほうがあったとしても。
このあたり、そのSIerの問題なのかもしれないが、主に扱っている案件の規模が大きくて、相手が情報システムに詳しいのが当たり前の事業環境にいる場合には、いつまでたっても気が付かず、相手のレベルの問題にしてしまうのではないかと思う。
もちろん、それが彼らのマーケティング的な方針で、そういうSIerを当該の案件に紹介してしまったこちらの方の問題かもしれないが。。。
かくしてSIerは、技術偏重の穴に落ちる。
彼らに限らず、専門家は専門家であるがゆえ、専門家でない人のごく普通の疑問に、専門的に答えて、新しい取引を取り逃がしていることがあるということに気が付けるといいのにね。
私も含めて。