月夜のサラサーテ 森博嗣【読書/映画感想】20190604
サラサーテはスペインのヴァイオリニストで、ツィゴイネルワイゼンなどの名曲で有名だ。このエッセイのシリーズは、つぼみ茸ムースなど7作あるが、手に取ったのは2作目だ。見開きのエッセイが100編。脈絡なく、たまに脈絡がある。
読んでいるとなるほどなと思うが、こうして感想でも書こうかと思うと、どんなエッセイだったのか思い浮かんで来ない。話は思いつくまま書いているようだが、そのせいか?
これらの100のエッセイは100の気づきで、できている。昔、若い企画マンだったころ、毎日何かに気づこうと様々なメディア、情報誌に目を通し、ヒントになりそうなフレーズをメモして、気づきを求められたときにチャチャっと提示できるように準備していたことを思いだす。
覚えていない中でも印象的なのは、
「幸せを探しているのは石ころを磨くことに似ている」
という話。
幸せの完成品を探そうとすると見つからないし、見つかってもその幸せはできているものにすぎないのですぐ飽きてしまうだろう。なんてことはない幸せとは、普通の石ころに直感して磨いていって、輝きを得て、時には誰かに褒められたり欲しがられたりして、でも、その石ころを磨き続けてきたことを含めての幸せなのだということ。
そして大抵、気づきは気づいたころには、もう遅かったりするのだ。