半蔵門御散歩雑談/ODR Pickups

株式会社ODR Room Network

このブログは、株式会社ODR Room Networkのお客様へのWeekly reportに掲載されている内容をアーカイブしたものです。但し、一部の記事を除きます。ODRについての状況、国際会議の参加報告、ビジネスよもやま話、台湾たまにロードレーサーの話題など、半蔵門やたまプラーザ付近を歩きながら雑談するように。

契約書なき仕事たち

契約書なき仕事たち【半蔵門ビジネス雑談】20191002

 

つい先々月の吉本興行の闇営業騒ぎで、契約書の不存在が明らかになり、

「まさかそんな」

という声と、

「そうだろうな」

という声が錯綜した。音楽業界で生き抜いてきた友人も、以前に、契約書の不存在を訴えていて、

「それは契約書を交わすべきだ」

というアドバイスにも、業界慣習を理由に難しさを嘆いていた。

tech.nikkeibp.co.jp

契約書がなくても契約は成立しているが、何を契約したかを例えば当事者の一方がいない場合でも確認できるように契約書面が存在するべきなのは明白だろう。

吉本の件では、「まさかそんな!」と思ったが、それと同時に、自分たちもそれに近い環境や慣習でビジネスをしていたことを白状しよう。

 

 

私がいたIT業界では、一部の大手の顧客や法務に敏感な顧客をのぞいて、契約書といわれる書面なしで開発に着手し、完成時に形として契約書を後追いで作成する場合や、金額と作業内容1行だけの注文書を契約書と見なして、仕事を進めていた場面を何度か目にし、開発メンバーとしても参画していたことは記憶にある。

おそらくだが、顧客も契約を盾にトラブル化するつもりはなく、不備があった場合でも、なんとか完成させることに双方が尽力し、できたものに満足できれば、支払いも厭わない。。そんな金額規模の開発だったからかもしれないが。。。大きな問題には発展しなかったのは幸いだった。

また、多いのは内容が固まった時点で、契約なしで先行開発に着手してしまい、開発途中で契約内容を決めていく走りながら契約もあった。いずれもバブル時代だったから、また、ITにはお金をかけられる環境だったから、成り立っていたのかと思う。

 

私が契約に関してひどい目にあったのは、海外企業との数年にわたる契約の締結前の交渉で、担当弁護士から品質検査と仲裁地についての条項のリスクを指摘されていたが、契約を早く推進するために、そこに目をつぶって進めた結果、まさにその条項が原因でトラブルとなり、その後訴訟にまで発展。全部で10年以上を相手国での訴訟対応のために費やした。

締結時に契約書の内容にキチンと向き合わず、「そんなトラブルになんかならない、させない」という根拠の薄い自信が招いた契約トラブルは、その後のビジネスマン人生を一変させたのであった。

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契約書なき仕事はなくならないだろうと思う。

しかし、トラブルで残りの人生を無駄にしないために、十分検討し、確認し、契約をきちんと締結するべきであると、それで苦しんだ私は力説したい。