【ODRピックアップ】20131017 台湾とチャイニーズタイペイ
先日の出張の際、支店長と移動中に台北でタクシーを拾いました。乗り込むと天井から折り鶴がぶら下がり、後部座席の窓にはAKB48の切り抜きやポスター、助手席の背もたれには、皇太子ご夫妻と愛子様の切り抜き。。。
どれだけ日本好きですか?
既にご承知の通り、台湾には日本が好きな方が沢山います。先の大震災での義援金もわずか3千万人強の人口で一番多い金額が集まりました。沖縄の少し先の隣国・・隣国との関係はこうありたいものです。
先日の女子バレーボールの試合の得点表は、日本対チャイニーズタイペイと表示されていました。
2013年のWBCの際は、Webサイトは、チャイニーズタイペイですが、TV放映時は、日本対台湾となっていたのに、どうして、なのでしょう?
これは歴史と国家の承認、国交がその主な理由です。
かつて中国は、清朝を倒して中華民国が成立しました。この時点での中国は中華民国でした。国連も中華民国を認めていました。第二次大戦後、蒋介石の国民党と毛沢東の共産党の内戦が起こり、破れた国民党が台湾に逃れ、台北と首都としましたが、1971年に国連は、共産党の中華人民共和国を主権国家として認め、日本なども併せて台湾との国交を断絶。今に至っています。中華人民共和国と中華民国は、双方が中国の代表国家であると名乗り、その決着はついていませんが、国連が認めておらず、国交がなければ、法的にも国として承認していませんので、「中華人民共和国の一部である台湾(あるいは台北)」という表現になってしまいます。
しかし、実際には、独立して対等あるいはそれ以上の経済領域でもあり、「台湾」と呼ばないほうが違和感があります。
私がビジネスで交流している人たちは、もちろん、普段は台湾を名乗っていますが、国際会議系にいくと、少しナーバスになります。彼らの活動の目的はビジネスであり、ナショナリズムではありませんので、そこは臨機応変。例えば、プレゼン資料に、
「この組織は当初、日本、台湾、韓国、シンガポールの4カ国が中心となって立ち上げた」
という記述があるのですが、中国が主催の会議では、プレゼンの直前に「台湾」から修正依頼が入る事もあります。
「この組織は当初、日本、台湾、韓国、シンガポールの国と地域が中心となって立ち上げた」
台湾と名乗るのですが、国と言わないで地域と言い換えています。
また、国旗のアイコンは外して、自社のトレードマークに変更したりもします。
国はどうして国家になるのでしょう?国際法上の基本要件は、住人がいて、領域が明確で、政府がある、この3つとされています。では台湾はこの要件を満たしていないのか?いずれも満たしています。では、何が足りない?それは第三国の承認です。日本や米国が台湾を国家と承認せずに、中華人民共和国を承認したので、そちらが正式な中国国家となり、台湾は国際社会では国家ではない状態になっています。国家の承認は相対的なものでイスラエルなども多くの国から国家承認されていますが、アラブ諸国からは国家として認められていません。基本要件+他国からの承認で国家と認められます。
法的には、国家が分裂している状況ではありますが、実際には、交流があり、ビザなしで渡航でき、会社も設立できて、なんら国家と変わりない。。。なんだかムズムズする状況が、台湾とチャイニーズタイペイという状態です。