【ODRピックアップ】20131121 消費税が上がると個人取引が増えるのか?
”税は国の形を変える”と言われています。
オランダは、中世には、窓の数、間口の広さで課税される窓税、間口税というのがあったそうで、結果として今でも間口が狭く細長い家が多いと言われています。
オランダの窓税
http://www.financial-j.net/blog/2010/05/001269.html
まだまだ世界的には低い比率と言われる日本の消費税ですが、いよいよ5%から8%にあがり、その先には更に10%まで上がる可能性も見えています。”税は国の形を変える”に鑑みると、消費増税でどのように変るのか?前回の5%増税では、多少の消費抑制がありつつも、それほど大きな変化にはならなかったように思います。
日経BPの記事では、電子商取引の個人間取引普及とあいまって、
「 税率8%を機に個人電子商取引が増える」
と記事を掲載しました。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20131025/255060/?n_cid=nbpnbo_rank_n
即ち、個人間取引なら消費税免税になるから。ネットオークションなどを通じて個人間取引が増えるということなのですが。。。最初はそうかなとも思いましたが、ここでいう消費税を払わなくていい個人間取引って、要するに中古品売買。個人間で取引する最初の個人はどこかから買うわけですから、その人は消費税は払わなくてはなりません。あるいは、個人が製作する手作り品か。それにしても一から造らない限り材料購入時に消費税は払います。消費税を免除されるのは2番目の購入者、つまりは中古品の購入者です。
記事では、より大きな取引−例えば、不動産や車などが、消費税回避で個人間取引に移行するとしています。
確かに、不動産は新たな生産がないので、ある意味ではすべてが中古品取引です。ただし、土地取引そのものには消費税はかかりませんし、不動産取得税は、個人間であろうと課税されます。しかし、仲介業者に支払う手数料(成約価格の3%+6万+消費税 2000万なら66万+3.3万なので69.3万。8%になると72万近くになる。これは売り手、買い手それぞれに発生)には、消費税が課税されますので、これを回避する形での個人間取引への移行は考えられます。
ただし、専門知識が必要な複雑な不動産取引の契約では、やはり専門家が必要となり、ここでの手数料に関わる消費税はどうしても避けられないのではないかと思います。
一方車も値が張るので消費税回避の動機は高いですが、これも中古車市場に限ります。やはり中古車事業者により仲介手数料回避と各種手続き費用への消費税回避が目的になるでしょう。しかし、そうした手続き費用より品質の見極めやアフターサービスが受けられないこととのトレードオフになりますから、消費税をケチって、あとで修理費用などが追加でかかるのでは元も子もありません。
消費税ではありませんが、海外サーバーの非課税是正へ議論
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/131005/mca1310050730008-n3.htm
のほうがインパクトがありそう。これは現在アマゾンなど海外にサーバーがある事業者の場合、日本への消費税を収めなくていいことになっているので、ヤフーや紀伊国屋書店などが国への不公平是正を申し入れているものですが、税が平等にかかるようになると、アマゾンのビジネスへの影響が出るかもしれません。するとそれに関連する物流業などにも影響が出る可能性があり、配送ビジネスなどへの影響も考えられます。
まだまだオランダの窓税のように、目に見える形までは変わりそうにないですね。