【ODRピックアップ】20140508 Gmailスキャン問題
インターネットと新しい技術の開発に伴い、様々な新しい試みが行なわれ、我々の生活や仕事環境が便利になる一方で、プライバシーに関する様々な問題も起こっています。
Googleストリートビューで撮影された画像に映り込んだプライバシーに関わるシーン、民家の軒先、停車した車の中、普段は眼にとまらないかもしれない路地裏の思わぬ画像が問題を起こし、削除要請も出て来ているというニュースはあちこちで眼にします。
http://wired.jp/2014/04/17/google-adds-to-tos-yes-we-scan/
2013年に、「通信傍受法に違反しており、プライバシー侵害に当たる」と「グーグルがメールのスキャンを実施していてることに対して複数の訴訟」起こされています。」
実際にGoogleの利用規約には、以下のような条項が含まれています。
https://www.google.com/intl/ja/policies/terms/
本サービス内のユーザーのコンテンツ
”〜
Google の自動化されたシステムはユーザーのコンテンツ(メールを含む)を分析して、関連性の高い機能をユーザーに個別に提供します。このような機能には、カスタマイズされた検索結果、カスタマイズされた広告、スパムとマルウェアの検出などがあります。この分析はコンテンツが送信、受信、および保存されたときに発生します。
”
これは、Gmailに入って来たコンテンツすなわちメールなどを含めてコンテンツを分析するために内容を分析しますよといっています。
Gmailを使う人は、この利用規約に同意しないと使えませんから、無料ですし、やむを得ないかなということでしょうが、困るのは、Gmailのユーザーでないメール利用者。例えば、私が自社のレンタルしているメールサーバーを使って送信する場合、相手がGmailを使って受信すると、その内容が解析されてしまうということ。上記のGmail利用規約に同意していないにも関わらず。
やっかいなことに、また当然ながら、メールの送信者は、相手がどのようなメーラーで受信するのかは、未確定のままメールを出します。いつも使っているメールが例えばマイクロソフトのアウトルックだとしても、次のメール受信時は、たまたま出張中のモバイルからGmailを使って受信するかもしれません。
企業で秘密保持契約を締結していれば、受領した秘密を守るため、その秘密を見せる第三者にも同様の契約を締結させるなど、秘密の保持を確実にする必要がありますが、Gmailとの契約をしない状態では、厳密にはこうした契約が守られていない状態になってしまっている?
確かに、実際にGmailで開けられたメールが、Google社によって秘密が漏洩することに繋がるとは言い切れませんが、なんらかのキーワードで自動的に検索することも技術的には可能でしょうから、Gmail社に依頼することで、そのに入ってくるメールの中から依頼者に必要な事項を抜き出してなんらかの処理を施すことは可能です。メールの内容に応じて必要な広告を表示することは、まさにこのことです。
実際に、当社の協力先で「Gmailで受信したい」という申し出がありましたが、セキュリティ上の理由でお断りました。今度は守秘義務契約にも、電子メールの受信の際には、GmailやGoogleドライブなども含めて”内容をスキャンする可能性のある”メーラーやサービスは使用しないように盛り込む必要がありそうです。