【ODRピックアップ】20140818 ”集団訴訟”だ!
トヨタプリウスの急加速すると疑われた欠陥を受けて、米国で騒がれた集団訴訟。トヨタの会長が公聴会に引っ張りだされた映像がTVでも流れていたので記憶されている方も多いでしょう。
トヨタ、急加速めぐる集団訴訟で米裁判所が和解案を最終承認
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPTYE96I08M20130719
集団訴訟。
製品の欠陥や悪徳商法で被害を受けても、多くの消費者が単独では、訴訟の労力負担、費用、法務部があり、法律の専門家がいる企業とでは交渉力に差があり、泣き寝入りせざるを得ないことが多いので、被害者を組織化して消費者団体や弁護団体が代理として訴訟できる制度です。米国では以前から制度化され、実施され機能してきました。
日本でも、
消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律
http://www.caa.go.jp/planning/index14.html
として、2013年12月11日に交付され、運用が開始される見込みです。
すわ!!集団訴訟だ!賠償金だ!!
と、慌ててはいけません。
私も、エリン・ブロコビッチだ!!
とTSUTAYAに走るのはまだ早い!
この日本版クラスアクション(集団訴訟)法は、どうなっているのでしょうか。
まず、訴訟は大きく二段階に別れています。第一段階では、認定を受けた適格消費者団体http://www.kokusen.go.jp/danso/ が、原告となって訴えを起こします。この第一段階で勝訴した場合に、第二段階として被害を受けた消費者が参加できることになります。例えば、先日話題になった食品偽装の問題で、集団訴訟となった場合、あるホテルに対して特定消費者団体が訴えを起こし、勝訴した場合には、そのホテルで例えばエビチリを食べた消費者が第二段階で参加し、損害を訴えて賠償されることになります。
そうか、なるほど。じゃあ、騙されたから精神的苦痛を受けたので、多額の賠償金をとってやれ!と思うのもちょっと待ってください。
今回の法律では、製品やサービスの購入代金や差額、修理費などが請求できる範囲で、所謂”拡大損害”は含まれていません。例えばPCが発火して家財が燃えた場合、PCの代金は請求できますが、燃えた家財や消えたデータは含まれないですし、食中毒の場合の人身損害、携帯が壊れて逃した商談の利益などは、含まれません。
なあんだ。。。
しかし、企業にとっては、これまで訴訟にならなかったケースも、集団訴訟として提訴され負ければ多数の消費者が参加してくる可能性がでてきたので、1件の被害は少なくても、多くの消費者が参加すれば莫大な賠償金、和解金に発展します。(※前述の米国のトヨタの和解金は16億ドル(1600億円)でしたから、ケースによっては死活問題です。)
企業としては、集団訴訟になる前にリコールしてしまうほうがいい場合もありますが、クレームがこない場合も考慮して対策をたてる必要があります。代理販売する製品の場合、例えばコンピュータなどは量販店で販売されますが、その場合は最初の訴訟の被告は販売者になりますので、敗訴した場合は、販売者から製造者への賠償請求となるので、最初から足並みを揃えないと、更に多額の賠償が発生する可能性もあり、ここも頭を悩ませるところです。
消費者としては、オンラインで購入する際には、約款もしっかりと読んで、来るべき集団訴訟の”原告”に備える。。。必要が出てくるかも?