【ODRピックアップ】20140919 トラストマークとODRの連携
インターネットが商用として普及し、ブロードバンド接続が一般的になってくることにより、2000年頃から電子商取引が本格的に利用され始めましたが、やはり当然のごとく、顔が見えない、商品が見えない心配から、さらなる普及を促進するための仕組みとして、第三者が事業者を認証して、消費者に信頼を示すマーク=トラストマークが提唱され、提供が開始されました。
トラストマークは、各国でそれぞれ提供され、越境取引に対応するため、やがて国際連携が開始されました。最初は、米国、台湾、日本、シンガポールが主導し、やがて、韓国やメキシコなども加わり、更には、欧州のトラストマークグループであるzzeuro Labelや南アメリカのeConfienzaが加わったため、名称をそれまでのATA(Asia-pacific Trustmark Alliance)から、WTA(Wordl Trusrmark Alliance)に改称し、現在では27カ国30トラストマーク機関が加わる大きな国際連携になっています。更に、2013年には、香港で法人として登記し、APECのゲストメンバーとしても、会合に参加しています。
WTA official site
http://www.wtaportal.org/index.html
WTAに加盟している トラストマーク機関は各国にありますが、その組織形態は様々です。私企業では、Truste(米国)、AMIPIC(メキシコ)、TradeSafe社(日本)、SOSA(台湾)、CASE、TrustSG(シンガポール)、SureSeal(フィリピン)、eConfienza(南アメリカ 11カ国)、半官半民では、Euro-Label(欧州 6カ国)EBS(中国・深セン)CyberSecurity(マレーシア)、政府系では、NIPA(韓国)、DBD(タイ)、ECOMVIET(ベトナム)、IDA(シンガポール)。
基本的に、各国内のEC事業者を対象としているトラストマークですが、今後の越境取引の拡大を見据えて、地域連携が行われていました。WTAの提携メンバーであるEuro-Labelや南アメリカのeConfienzaの地域連携と、そもそもWTAの前身のATAは、アジア太平洋の地域連携でした。 ここ数年は更に、そうした地域連携間の連携も進み、WTAとEuro-Label、WTAとeConfienzaが連携し、WTAに発展してきました。
ところで、WTAのガイドラインでは、各トラストマーク機関は、消費者苦情を処理する仕組みを備えることになっていますが、取引が越境した場合の苦情処理については、仕組みを規定していません。今後、越境紛争をどのように扱っていくから、潜在的な課題になっています。
一方、トラストマークとは別に、苦情処理を行う機関(含むODR機関)もあります。苦情処理機関に関しても、越境紛争に関しては、苦情処理機関相互の連携が、欧州のECC-Net、南アメリカのeInstituteなど、一部の地域で行われています。ただ、苦情処理機関は、トラストマークと異なり、消費者側にたつため、EUのように財務的土台が企業からの会費制でなく、政府資金=税金の場合は、域外の消費者の紛争は受け付けてくれない場合もあります。同じEU内には、Euro-Labelがありますが、ECC-Netとは提携していません。
米国のBBBOnlineの場合、自身がトラストマークでもあり、苦情処理機関でもある場合、資金の手当が自分で行えるので、域外の消費者の苦情でも受け付けることができるようです。
トラストマークと苦情処理機関が別々の場合、南アメリカのeConfienzaとeInstituteのように提携し、資金的な問題を解決している場合もあります。
日本では、消費者庁が2011年に、越境消費者センターを立上げ、いくつかの海外機関と提携し、越境の苦情処理を行っていますが、提携先が、資金手当が出来ていない場合、苦情処理の有償化を要望しており、前述のBBBOnlineやeInstitute、SOSA, CASEなど自身が財務的基盤を持っていないと、提携交渉が進まない場合も少なくありません。
トラストマークも苦情処理機関も、消費者にとって安全安心な電子商取引が行えることを目的としています。前述のように、地域間の苦情処理の連携がうまく行えるような連携間連携が今後の解決策の一つとなりうるのではないでしょうか。