【ODRピックアップ】20150421 訴えるのは難しい
少し前の帰省時に、84歳になる父親と酒を酌み交わしていると、
「この間危なかったんだ。車に当てられた。」
と、ぼそり。
「え〜〜?」と驚いて思わず身を乗り出しました。
聞けば、日課の散歩に出た際に、家のすぐ傍の交差点を渡っていると、右折してきた車のミラーに肘が当たったとのこと。
「転ばなかったから大丈夫だ」
といいますが、年齢が年齢ですから、後遺症などもあり得ます。
「すぐ警察を呼んだんだろうね」
と詰め寄ると、
「呼ばなかった。運転手は大丈夫ですかと降りて来たけれど、大丈夫だといった。」
田舎の人のいい面でもあり悪い面でもあります。
「後遺症があったらどうするんだよ?」と
つい気色ばむと
「それが、斜め向かいの山田さんの従兄弟だったんだ」
田舎の人のいい面でもあり悪い面でもあります。
争いごとになると、ご近所の付き合いに支障が出ると思ったのでしょう。ちょっとした事故を我慢してしまう傾向。
事故の場合は、保険会社が全て間に入って交渉からなにからやってくれますし、念のための通院医療費も賄ってくれます。通院に応じて慰謝料も基準があり用意されています。父親にはくれぐれも軽症と思っても人身事故の場合は、警察を呼んで処理をしてもらうようにいいましたが、多分、言う事は聞かないでしょう。
訴える。警察沙汰にする。苦情をいう。
我慢することは美徳とされてきた日本社会の弊害。
我が両親は争いごとを飲み込むことをよしとしています。
先日、友人の夫婦数人と話題のスカイツリーツアーに参加しました。無事スカイツリーを見学して、下に降りてくると、一緒にいたツアーの一団がいない。。少し探して見つからないので、添乗員の携帯に電話すると、既に浅草に移動してしまった。。。あとで聞いても腹立たしいのですが、田舎の老人を預かったツアーで、点呼もせずに参加者をおいてきぼりにするなど言語道断。さぞや、丁重に謝られたのではと聞くと、2回電話があっただけとのこと。
それだけ?
とこれも詳しく聞いてみると、我が両親。
「沢山の年寄りを連れていて気持ちにゆとりがなかったんだろうて。」
それにしても、
「一緒にいった友達もいないことに気がついてくれないのか?」
と、矛先を変えると、
「みんな自分のことで一生懸命なんだよ」
と、人が良すぎる。。。
しかし、この対応。この世代の日本人の典型ではないでしょうか。
訴える。警察沙汰にする。苦情をいうことをよしとしない。
もめ事になるくらいなら黙っている。貸しだと思えばいい。
きっと感謝してくれる。
* * *
TPPや様々な側面でのグローバル化。
「日本は暮らし易い」と言われるのは、恐らくこんな側面も含まれています。
私は親のその面を引き継がなかったのは、
幸か不幸か。