半蔵門御散歩雑談/ODR Pickups

株式会社ODR Room Network

このブログは、株式会社ODR Room Networkのお客様へのWeekly reportに掲載されている内容をアーカイブしたものです。但し、一部の記事を除きます。ODRについての状況、国際会議の参加報告、ビジネスよもやま話、台湾たまにロードレーサーの話題など、半蔵門やたまプラーザ付近を歩きながら雑談するように。

【ODRピックアップ】 20151013 個人がちょっとずつ働く経済

【ODRピックアップ】 20151013 個人がちょっとずつ働く経済

 

1.「問題は誰かが一度だけ解決する」

 

某巨大電話会社の新入社員の方々向けに、青少年センターでC言語の講師をやっていたころでした。まだ普及したてのC言語の教科書ーリッチー&カーニハンの「プログラミング言語C 第2版 B.W.カーニハン/D.M.リッチー 著 石田 晴久 訳 共立出版 発行 1989年6月 343ページ 2718円(本体)」が、バイブルだったころ、UNIXについての書籍で、柔らかく書かれていた本がありました。その中の最も印象的なフレーズがありました。それは。。。

「問題は誰かが一度だけ解決する」

Amazon.co.jp: Life with UNIX―UNIXを愛するすべての人に: ドン ライブ, サンディ レスラ, 福崎 俊博, 坂本 文: 本

これはそれまでのメーカーがハードウェアからOSを含むソフトウェアまでを造って供給するモデルからエンジニアが必要な部分をそれぞれ造り供給する自由と自立に溢れた仕組みでした。1ベンチャーの社員だった私は、この言葉で一気にしかし密かに希望にワクワクしていました。

 

2.あなたの得意でハッピーが広がる

 

それから20数年。2013年。

※参考記事

問題は誰かが一度だけ解決する|“法務がHomeにやってきた”~Homu is coming Home.~|ライフスタイル|ヨミモノ|QuonNet

クラウドは、個人の資源を共有しようよと呼びかけます。例えば。。。

coconala.com

 

3.なにかをシェアする

 

個人のバイクをシェアリングできるサービス

https://www.spinlister.com/search?utf8=✓&q=tokyo&heigh

これは、個人が自転車を貸してくれるもの。私もスタンフォード出張時にお世話になりました。これらは、個人の資源を直接個人間で利用し合おうというもので、フリマ的な位置づけでした。

UNIXのコンセプトと似た「自分の得意や持ち物をシェアする」考えが実用的に活用されるようになってきています。

その意味では、AirBnBも同じ発想です。 

www.airbnb.jp

ただし、単なるフリーマーケットではなく宿泊させることから、ホテル業の一種で、安全管理や犯罪へ繋がる恐れもあり、規制との関連が出て来たところです。 大田区では、条例を改正して、一定条件(広さ、施錠、宿泊数、宿泊者名簿)を満たせば、許可される方向に動いています。

 

4.個人がちょっとずつ働く

 

タクシー業界でスマホを活用した予約システムを取り入れたのはウーバーで、業界からの反発を招きましたが、今度は、「個人車をタクシーのように使う」という取り組み。

business.nikkeibp.co.jp

ただし、目的はタクシーではなく、リサイクル品の回収。かつ、参加するドライバーは対価を受け取らないあくまでも「ボランティア」という試み。日本では、タクシーが比較的捕まり易いので、新たな可能性を探る動き。

 

米国の例ですが、amazonは荷物の配送に一般の人を活用しようとしています。条件は、21歳以上、免許、アンドロイド端末と身元調査に合格すること。空いている時間に、最寄りの配送センターで荷物を受け取り配達すると時給18〜25ドル。

wired.jp

前の事例が個人間の取引をベースとしているのと大きく異なるのは、 事業者と個人が「雇用的」関係にあり、サービスを受け取るのは消費者であること。雇用と言い切れれば、受け取る側からすれば単にパートタイマーが運んで来ただけなので、配送業者もしくはamazonとの関係になりますが、そのあたりがはっきりしないと、正常な場合はいいのですが、問題が発生した場合(破損、時間指定の配送などができなかった場合)に、どういう責任や救済ができるのかが問題となってきます。

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ちょっとしたノウハウ、空いている資源、資産、空いている時間、これらを活用できれば、個人にも事業者にもサービスを受ける側にもメリットがあります。リスクを慎重に捉えすぎると何も進まず、安易に考えすぎると事故にも繋がります。個人がちょっとずつ働く経済。総活躍社会とは、リスクを誰かのせいにするのではない社会なのではないでしょうか。