【ODRピックアップ】20160219 不過視な不可思議な国境
実家に帰るには関越自動車道を使います。
関越自動車道は、東京都の練馬から始まり、埼玉県を縦断して、群馬県、新潟県へと続いています。市販、公開されている地図には、県境が引かれています。3つの県にまたがる関越自動車道を走ると、県境を通過しているわけですが、高速道路上に、地図にあるような"線"が引いてある訳ではありません。
事務所の壁には世界地図が貼ってあります。
ロンドンが中心の地図なので、日本は右端に位置しています。この地図を見ると、"極東"の日本を実感しますが、それはさておき。地図の名称は、Political Wall Mapとなっています。
そう。地図は、"政治的な"壁の図なのです。
数年来、市町村合併が盛んに取りざたされ、実施されました。A市とB市とC町が合併して一つのD市となり、これまでそれらの政治的地方自治の領域を区分していた市と市の境がなくなりました。分かりきったことですが、合併したからといって、物理的に、境目になっていた道や川を取り除いた訳ではなく、ある日を境に市と市の境が消えたのです。東西ドイツを隔てていた、ベルリンの壁のように、物理的に境がない限り、政治的な境なんてはかないものです。
アメリカとメキシコの国境は、明らかに、物理的に道路で別れています。
https://maps.google.com/maps?アメリカとメキシコの国境
政治的境界であると同時に、物理的境界が明確に存在し、見た目にも明らかに「あ、ここから外国」ということがわかります。
これくらいはっきりしていると「ああ、国境なんだな」って、実感できます。
オランダとベルギーは、陸続きの隣通し。両国併せても日本の関東と中部地方くらいのサイズです。
「オランダ側に置かれたソファに座り、ベルギー側にあるテレビを見て、オランダ側のキッチンで料理をし、子どもたちはベルギー側の部屋でお勉強」というような、国境の上に建っている民家がザラにあるのは、ヨーロッパの国取りの歴史でもあり、国境がいかに儚いものであるかということを語ります。
塩分濃度が濃いために、何もしないでも浮かんでしまう死海のあるイスラエルとヨルダンの国境は、死海の中にあります。
Google マップ (死海)
検問所は設置できないので、国境越えは楽々と思いきや、死海では泳げません。実際に入って泳いでみましたが、泳げませんでした。塩分濃度が30%(海水は3%)では、目を開けられませんし、海からヨルダン入りする「バカモノ」はいないでしょう。
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最近ゴタゴタしている「存在しない領土問題」も沈静化したか?と思っていましたが、それはマスコミの報道が少なくなっているだけ。先日も、深センの関係者が来日したいということで、招へい手続きを進めましたが、結局、市政府の許可以前に、組織の上司からの許可がでなかったそうな。。。見えないのは、地面の国境、海上の国境だけではないのです。