【ODRピックアップ】20160314 スマホ専用歩道
昨夜の会食のあとの帰り道、家族と連絡をとろうとスマートフォンを歩きながら見ていて老眼でよく見えないせいもあり、あやうく地下鉄通路の真ん中の太い柱に正面衝突しそうになりました。
それにしても、歩きながらスマホを見ている人は多いです。画面のサイズが小さいので覗き込む形になり、下を向き、視野は画面のサイズに集中する結果、前方の障害物や前から来る人に気がつくのは衝突寸前。但し、集中すればする程、歩く速度は遅くなるそうな。普通の歩行が1.13m/秒に対して、メールを打ちながらだと1m/秒。歩く速度が遅いから大事故にならないものの、小さな衝突はしょっちゅう起こっていることと推測できます。私と柱のように。
そしてこれは日本だけではありません。
- 米国では、道路標識まであります。「道路を横切るときは頭をあげよう。そして渡ったらfacebookを更新しよう」(米国らしい)
- 中国 重慶市では、歩道にスマホ専用歩道が設けられました。「自分の責任でこのレーンを歩きましょう」
- スウェーデンでは、自動車運転者への標識として、「(運転中スマホはもちろん)スマホをしながら歩いている”歩行者”に注意」との標識が!
こうした標識やレーンの対策は、車社会からの経験です。車社会は、標識による啓蒙から、警笛などの車の装備、シートベルト、エアバッグへと”強化”されて、実際に人命を守る効果を実現しています。
- スマートウォッチは、スマホを使わずに腕時計のようにすぐにメッセージの到着や重要度が見られるようにすることで、しょっちゅうスマホを気にして下を向いて歩く事を減らすことも狙いの一つとされています。
- 指輪型の端末も、重要なメッセージを色で区別できるようにして、スマホを見る時には立ち止まってみることを期待しています。
これは、イマイチの効果かなと認識しています。あまり街中でスマートウォッチしている人を見かけませんし、私の周辺でも保有している人がいません。私を含めて。
そもそも、ぶつかっても被害が少ないからといって、(歩きスマホは)まあいいじゃない?というのは賛成できません。歩きながらスマホを見ない人がいつも避けることになるのは、別のストレスや軋轢を生み出しそうだからです。実際、前から歩きスマホが来たので、そのまま立ち止まっていると、ぶつかりそうになったその人は、(何突っ立っているんだ?)という一瞥をくれて立ち去りました。注意を払ったのはこちらなのになんだか理不尽。
「問題」はいつも技術の進歩を生み出します。
米ラトガース大学のエンジニア、シュブハム・ジャイン氏は、スマホを利用するユーザーが
- 交差点に差し掛かると端末が終了するアプリを同僚と開発している。
- このアプリでは、ユーザーが交差点に入ると瞬間的にスマホにロックがかかり、目を上げろという警告が光る。
その他にも、
- (GPS)を活用し、どこが交差点かを判断するタイプのアプリ
- 靴にセンサーを埋め込み、ユーザーが歩道を踏み外してしまうと2歩以内に端末を終了させる。
などのスマホ側への開発の試みもあります。
日本では、まだ、こうした物理的な注意喚起は見当たりません。
できればそうなる前に日本的倫理的自発的な歩きスマホ最適化が図られることを期待します。