半蔵門御散歩雑談/ODR Pickups

株式会社ODR Room Network

このブログは、株式会社ODR Room Networkのお客様へのWeekly reportに掲載されている内容をアーカイブしたものです。但し、一部の記事を除きます。ODRについての状況、国際会議の参加報告、ビジネスよもやま話、台湾たまにロードレーサーの話題など、半蔵門やたまプラーザ付近を歩きながら雑談するように。

【ODRピックアップ】20160407 (今更だが)行動経済学は面白い

【ODRピックアップ】20160407 (今更だが)行動経済学は面白い

 

いつものようにふらりと立ち寄った本屋で平積みになっていた本を購入しました。そのうちの1冊。今更ではありますが、行動経済学関係。

www.amazon.co.jp

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宇宙人ジョーンズは、いいます。

「この惑星の住人は不思議だ」

 

本書は、宇宙人ジョーンズと著者のダンフォード博士の会話で構成されています。いろいろな場面で、地球人は合理的でない判断をすることを例にあげ、その理由を謎といていきます。合理的ではない判断をする理由を分析する、行動の経済学について分かり易く書いてあります。

 

1.心理的公平性は、経済合理性に勝利する

 

最初は、公正さを求める感情に影響される例。

  • 20万円をAとBで山分けする。
  • ただし、20万はAに渡され、Aが金額を決める。1万円単位で指定する。
  • BがOKすれば、AとBはその金額を手に入れられる。
  • Bは、金額が気に入らなければ拒否をすることができる。その場合、両者とも1円も得られない。

実験すると、だいたいが5:5または6:4で提示する。なんとなくわかる数字。9:1だと、不公平だとBが拒否する可能性を感じるからだ。

でも、ジョーンズは言う。

  • Aは、19:1にするのが合理的な筈だ。
  • Aは、指定する権限があり、19:1が最大値だ。
  • Bは、拒否すれば0だから、1よりはいい。

これが合理的な行動であると。。。

 

でも、人間は、0になったとしても、公平さを欠いたAに対して拒否をして、自分が0でも相手を罰するような行動をとります。経済的には合理的でない。不合理な地球人。

※相手がAIだとどうなるか?答えは、最後に。

 

2.保有効果

 

ダンフォードさんの持っている稀少なアナログレコード。

「これは価値があるんだよ。まあ、売るなら7万てとこだな。」

宇宙人ジョーンズは、

「ダンフォードさん、これを持っていなかったらレコード市で買うなら7万円ということですね」

ダンフォードさんは

「いや。買うなら3万てとこかな」

ジョーンズは曰く。「地球人は合理的でないですね。売るなら7万の価値があるというのに、買う場合には3万とはその価値しかないというのは矛盾しています」

保有するものにより高い価値をつけるのは保有効果。

 

ミニクーパーを下取りに出して250万のバンデンプラスプリンセスを買う例。

A社は、

  値引きは、65万でミニの下取り35万

B社は、

  値引きは、30万だが下取りは70万

どちらから買うことになるでしょう?

 

多くなる答えは、B社。

購入価格は結果的には150万になるけれど,自分の保有するミニを70万で評価してくれているB社のほうが自分の気持ちと同じになる。保有しているものにより高い価値をつける保有効果。

 

3.喪失回避行動

 

商店街の福引きで1等当選。賞金は1万円。

ただし、これを最終的にゲットするには、もう一つの選択肢から選ばなければならない。

(1)もれなく5千円ゲットできるオプション。

(2)コイントスで、当選すると更に+1万円。はずれるとそのまま。

どちらをえらぶだろう?

多くの人が(1)を選ぶだろう。だって無条件に1万5千円になるのだから。

 

では、次の場合は?

別の商店街でまた1等。賞金2万円。

ここでも、これを最終的にゲットするには、もう一つの選択肢から選ばなければならない。

(3)無条件に5千円取られる。

(4)コイントスで、表だと1万円とられる。裏ならばそのまま。

さてどっち?

実は(4)を選ぶ人が多い。

 

なぜだ?(3)なら5千円取られるが、確実に1万5千円もらえるのに。(4)のほうがリスクがあるのに。

 

得られる賞金は、

(1)が1万5千円

(2)は2万または1万

(3)は1万5千円

(4)は2万または1万

 

得られる賞金で比べると(1)と(3)を選ぶのが合理的だし、(2)と(4)もギャンブル志向である意味合理的だが、(1)を選んだのに次には(4)というのは、なにがそうさせているのでしょう?

 

これは、(1)が既に得たのが1万で、そこから5千増えるという心理に対して、

(2)は既に得たのが2万で、そこから5千減るから。

”損失”を回避する方向に走りやすいという、人間の不合理な面を現しているのだそうです。

 

つまり、「確実に減るくらいなら、賭けにでる。」

 全て自分にも当てはまるなぁ。不合理な人間なんだなぁ。

 

おまけ;相手がAIだとどうなるか?

 

ところで。1の場合で、AがコンピュータだとBに知らせて実験すると、19:1でも受け入れるそうです。相手が人間でなければ、心理的公平性は影響しなくなるということ。

最近、実験的にAIを相手のチャットをしてみました。

rinna.jp

 結構会話になりますが、時々、頭に来るような失礼な発言があるものの、相手がAIと分かっているので、ムカッとはきません。こういうものにハマる心理も分かる気がします。