【ODRピックアップ】20160415 安売りしないでいこうじゃないか
花見のピークも終わりつつある4月の2週目の朝、オフィスでなく定期検査のために病院に向かうために、いつもより少し早めの電車に乗り込みました。この時期、電車内には新入社員と思しき若者達が眼につきます。
同僚と共に、雑談しながら出勤する様子の人達や、一人緊張の面持ちでしかし眼を少し輝かせながら慣れない満員電車でつり革に掴まる者、そして、どことなく不安そうで頼りなさそうな感じの人。出勤すること自体が嫌で仕方がないという顔色が伺えます。それは、会社生活そのものへの不安とともに、それ以上に、「適応できなかったらどうしようか」という「自分への不安」ではないかと思えます。
さらに接続路線へ向かう途中の乗り換え通路。慣れた通勤客はみんな結構な勢いで歩いて行きますが、中に少し戸惑い気味の若い男性が眼につきました。横に並んで見るとこちらも不安そうな頼りなさそうな横顔。
ふと思いつきで少し後ろについて、彼と同じ目線で、追い抜く人波を見てみました。
なんとなくこの若者の気持ちがわかりました。
其の人波は、お互いは競合関係にあるかどうかもわからないのに、まるで競争のように、しかしそれなのに、前だけを見て、お互いの存在がないかのように、迷いもなさそうに黙々と進んで行く。
そして、上記記事にある引用。
「毎日毎日こんな事繰り返すと思うと憂鬱になるな」
「週5日もある平日にほぼ自由が無い状態が40年続くってだけで結構な絶望感」
私がみかけた若者の心情はこれだったのではないかと勝手に推測しています。
あまいよ!という声もわかりますし、自分もそのように言ったこともあります。当時の私の感覚では、
- 就職できてありがたい
- 石の上にも3年がんばろう
- 我慢していろいろ学ぶ、学べるはずだ
- 最初からダメならどこへいってもダメだ
自分の就職の時、「とにかくどこでも就職できればいい」と思っていたのは事実です。それは、
- ちゃんとしたところに就職したから安心してくれ
と、親に言えることが重要だったから。だから必死でしがみついた。
でも同じ頃、同じ年代からちょっと上の世代でそうでない人達もいた。ソフトバンクの孫さん、マイクロソフトの古川さん、成毛さんなど、その後の時代を創る企業群の一端を担った人達。彼らは、かなり違うところにいたのです。そして、それが今の時代を創ったといっても過言ではないでしょう。
新入社員ですぐ止めるのは、もしかするとこうした革新の芽なのかもしれません。
だって、そこまで思い詰めたんだ。
そこまで叫んだんだ。
自分は我慢した。。。というより、そんな野望をいだけなかったことを今ちょっと悔いています。
でも、がむしゃらに身を粉にして働きつくせば報われることがかなりの確率で保証されていた企業社会の時代は明らかに終わりました。どんなに大きく、歴史があったとして、その企業本体が倒産するかもしれません。ブラック企業で自分の体と心が壊れてしまうかもしれません。不正行為が発覚して働きにくくなる可能性もあります。
だから、迷っている若者には、
本当に嫌なら耐えられないなら、安売りしないでいこうじゃないか
といってあげたいと思います。