【ODRピックアップ/半蔵門ビジネストーク】20160727 「適切な」に気をつけろ
最近のコンビニの店員さんは、もう見事に国際化しています。半蔵門事務所近くのファミマにしても、セブンにしても、中華系を中心に、最近はついに中東系の方も見かけるようになりました。日本語ぺらぺら。頭が下がります。国際化は、出て行くのではなく、入ってくるという認識にならないといけません。
1 「適当に」でいいわよ
今朝も、来客用の冷たい飲み物を調達しようと、列に並んで、自分の順番。私の担当は、”トレーニング中”と名札をつけた中華系の「り」さん。多分、李さんでしょう。そして、隣りのレジは、中東系の男性が応対していました。
「スプーンをつけますか?」
「そうね。適当に入れておいて」
「2個にしましょうか、3個にしましょうか」
「適当に入れて。2〜3個」
「3個にしますか?」
「適当にでいいわよ!!」
中東系男性は、まじめ。店長に相談にいきました。
(”適当に”は、2個ですか?3個ですか?)
(3個いれておきなさい)
こんなに流暢な日本語を話す彼にとっても、「適当に」というのは、困る言葉なのです。。
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2.「適切な」ご使用の限り
家電の保証書。
”適切な利用を行っている限りにおいて保証の範囲となっております。”
”適切な”とは、何時間の連続利用なのか?
”適切な”とは、どのような温度下での利用なのか?
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コンビニの客は、多分スプーンは要らなかったのだと思えます。でも、聞かれたので、「適当に」と答えた。スプーンが必要なら、個数を明言できた筈。でもいらないから、「適当に」と答えた。スプーンの数をいらないと言わずに(言えずに?)、その数量の明言を、まじめな中東系店員に委ねたのです。
家電の「適切な」使用は実はあやふやな表現です。
適切な利用というのは、どういう利用なのか。連続使用時間や周辺温度などを具体的にはどうすればいいのか。 具体的にしないと、適切とは、例えば、省エネも考えてあまり使わないようにすることも入ってきてしまう可能性もあります。
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3.「適切な」予算
都知事選候補者の主張で、財政政策に関して、”「適切な」予算”、”予算の削減”などが言われています。政策の是非はここでは述べませんが、表現として、予算削減は、文字通りで明確に減らすことに繋がるのに対して、適切な配分は、適切である限りは予算が減るとは言っていません。適切な予算という表現は、懐が深く予算の扱いについては恐らく正解で、そんなのは当たり前なのです。予算は適切でなければいけないに決まっています。予算への主張とするなら、個別に、XX予算の削減か、増加か、現状維持かといわないといけない。適切な予算というのは、決して否定できない当たり前の主張で、それを争点とするのは単なる言葉のマヤカしになってしまいます。
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「適切な」「適当な」という言葉は、誰も否定できない言い方です。しかし、明言しないで、判断を先延ばしする。または、判断を相手に委ねてしまう。にもかかわらず、適切な結果でなかったら、(こうならないように)「適切に」と言った筈だ、と行動した側がケチをつけられる余地を残しているのです。
状況に応じて、適切な判断をすること
という規則は、「うまくやってくれ」という意味なのです。笑