【ODRピックアップ/半蔵門ビジネストーク】20160728 ネットが育む独占欲
誰かと食事中でも、メールが来ると、「ちょっと失礼」とスマホを操作する人は多いでしょうね。電車に乗ると一人ならもちろん、同行者がいても、話が途切れると双方ともスマホをチェックしたりするのではないでしょうか。
こんな姿を見ると、
「依存し過ぎだ」
「なかったときを思い出せ」
というお叱りを受けることもあります。
でも、ついつい誰かからのメッセージや最新のニュースやSNSのタイムラインが気になってしまいます。
しかし、なかには、ネット断ちを実現している人もいるようです。
彼女は、会社を出たら、携帯を持たずにいるそうな。
誰からも位置を補足されないし、連絡もこない。今目の前にいる人々との対話、時間を大切にできるようになったといいます。
なるほど。
最近、懇意にしている女性の翻訳者は、最先端のスマホを所有しています。が、彼女の上の記事の女性と同じように、”誰かと対話しているときは、ほぼそれらを取り出しません”。仕事中はもちろん、皆で会食するときも、帰りの電車でも、あるいは移動のタクシーでも、誰かが傍にいるときには、スマホを一切みないのです。今まで、あまり気に留めていませんでしたが、こうしてみるととても敬意を払われ尊重されているように感じられて、今時では、貴重な気分です。
が。
これは裏腹であることに気がつきます。
即ち、彼女が他の人々といるときも、同じように敬意を払い、相手を尊重している筈。
そう。
つまり、一緒でない時、彼女へのメールやメッセンジャーの返信はおろか、既読のサインはまず日中には入って来ません。朝か夜の帰宅後のみ。それはなんとも、敬意を払われていないような、尊重されていないような錯覚を覚えます。
リアルを極限に尊重すると、ネットでの相手を尊重しないことになる現代のコミュニケーションのジレンマ。。。
勝手なもので、一緒のときは、自分との対話を大切にしてほしいと。ネットなんかみないで欲しいと。でも、一緒でないときは、自分からのメッセージをすぐに確認してほしいと。もっと頻繁にレスポンスが欲しいと。
それは、ネットなしの時代には、存在し得なかった独占欲です。