【読書感想】20160913 ブラックバイト、ユーチューバー、アート振興、整形と金融
池袋ウェストゲートパークシリーズの最新刊。前作PRIDEでもうこれで最後かと思っていたのですが、これは嬉しい!ハードカバー版で購入する数少ないシリーズの一つです。
このシリーズの舞台 ー 池袋西口公園は、通っていた大学の駅前の通学路であり時間つぶしの場であり、リアルでいろいろな青臭い青春の場であったのですから、小説に登場すれば嬉しいし、自己投影もしやすく、懐かしい甘酸っぱい感情や、思い出や後悔に浸れる小説です。
以下ネタバレあり。
ブラックバイト
創業者への過剰なややもすれば宗教的な忠誠心を強制しあおり時間を搾取し、それについていけないバイトが巻き込まれる自殺未遂、自殺。おかしいと気付いた社員を自主退社させ応じない社員には脅しや暴力で不祥事を隠そうとする企業側とGボーイズの対決。
自分たちはそんなことはなかったと思うのだが今となってはそれが体のいい洗脳だったのかもしれないが、せめて娘たちがそんなことにならないように注意していたい。
ユーチューバー
1日で百万を稼ぐユーチューバーのアホだが視聴率を稼げる番組の人気。それをディスるグループ。しかし、広告料金が一気に下げられたために、両者が手を組んだやらせ的プロレス的ディスりの炎上商法へ。しかし、さらなる裏切りが対立を激化させる。
中学生の将来のユメが売れっ子ユーチューバーであるという。役に立つコンテンツを持っているならそれはできるだろうし、視聴者へのメリットもあるのだから批判はしない。これなんて実用的!
アート振興
廃校となった小学校を活用したアートによる街興しだが、パクリによるトラブルから嫌がらせ合戦となり、幼なじみからの依頼にGボーイズが奔走。
自分の通った学校がなくなるという体験をした人は周囲にも多い。教室を活用してこうしたアート支援や宿泊施設になっているのはそれはそれで嬉しいものかもしれない。
整形と金融
立教通りが舞台。美にコンプレックスを持つ若い女性を似非おねえ系の美容師、高額だが不完全な美容整形と金融さらには風俗まで絡む搾取。ホントに惚れた男がキモいストーカー呼ばわりされるが。。。
立教通りは思い出が深い。いつも授業に行く途中に麻雀メンツを集めようとしている友人たちに捕まってそのまま雀荘へこもることも少なからず。お金がなくなって200円かそこらの学食のAランチが食べられず学校にきていない他の友達を迎えにいくといって実家から送られて来た即席ラーメンを食べにいったなんてこともあった。もう一度やりなおしたいあの時代。
いずれも、我らが池袋の果物やのマコトが、Gボーイズの氷の帝王タカシと関わりながら、頭脳的に、しかし泥臭く解決していく。
本書の教訓。
人は嘘をつくとき、一瞬目から光が消えるそうだ。