【ODRピックアップ/半蔵門ビジネストーク】20170417 トラストマークって、見てますか?
今はなんでもネットで買える便利な時代になったが、それを悪用して一儲けを企む輩も出てくる。例えば、品質の低いものをそういわずに売るとか、ブランドのニセモノを売るとか。当然、法律で規制しようとして。。。
特商法
で、いろいろ定めている。販売者と連絡がとれること、紛らわしい表示をしないこと、送料を明記すること等々。それでも、表記が架空の住所だったりするし、表示されていても、実質的な対応が不十分なことはありうるし、トラブルが起きた場合の対応が不慣れな可能性もある。特に、ネットの場合は、購入品が消費者の手元に到着するまでに、複数の別事業者が介在するので問題発生時の責任が。。。
責任が分散する
店舗があって店頭で対面で販売するわけではないので、購入者は画面の写真や動画、説明の文字を見て購入を決断/判断する。到着するまでに製品は、製造元から、販売者へ渡り、購入者の手元に届くが、途中に運送を伴う。例えば破損した場合、どこで破損したのか、出荷時か、保管時か、輸送時か。
責任が分散している結果、購入者がたらい回しにされ、やがては泣き寝入りになることもある。これでは、せっかくの便利なインターネット販売も安心して利用できなくなってしまう。買い手に全部責任を持たせるのは酷であるろう。だれか、「ここは安心だ!」と教えてくれないか? そこで。。。
どうやって保証するのかー>トラストマーク
第三者機関や政府機関が、適切な運営をしているかどうかを審査して保証するトラストマークは一つの方法。例えば、東京都が関連するのは、
- オンラインマーク インターネットショッピング
- インターネット接続サービス・安心マーク インターネット接続事業者
- プライバシーマーク 個人情報の取扱
- TRUSTe 個人情報の取扱
- JIMAトラストマーク 医療や健康に関する情報提供
- e-TBTマーク 旅行業に関する信用マーク
www.shouhiseikatu.metro.tokyo.jp
いずれも、自己評価+機関による審査などでマークを付与されている。
政府関連のマークは、政府のお墨付きがあるといえる。保証する側の信頼性は申し分ない一方、市場のお墨付き、利用者のお墨付きではない。そこは、クチコミサイトなどの情報を併せて活用することになる。
で、そもそもですが。
サイトに表示されているトラストマークって、見てますか?あるいは眼にとまっていますか?探していますか?これらのマークは、あまり目立つ所には表示されていないような気もします。このマークを取得するのはどういう意図、いきさつ、動機があるのでしょう?
トラストマークのモチベーション
消費者・購入者
マークがついたサイトで買えばトラブルになりにくく安心して買えること。審査厳しく、でも選択肢多く。欲しいものを売っているサイトにマークがついていて欲しい。
認証される側
審査を受けてマークをつけることで、信頼向上、アクセス向上ひいては売上向上に繋がることを期待しているのですが、誰かがこのマークは信頼の証ということを宣伝してくれないと目に止まらないので、アクセス向上につながってこないことになります。
発行側の意図
多くのサイトが取得して質があがることですから取得者を増やして行きますが、皆が取得すると差別化にはならなくなります。
また、取得できるサイトが増えないほどの厳しすぎる限定マークでは、信頼は高まるが利用者の選択肢が狭まることになります。
増えないと認知されないし、みんながとれば差別化できない。。。
違反をしたらきっちり剥奪されるような定期的な検証、審査も必要となります。
一定数になるまでは、強制力をもって取得させないとうまくいかないのか。。
保証を与える側に廻りたい
マーク取得が必須となり、多くのサイトが取得することになり、定期的な審査があるならば、取得ビジネス、審査ビジネスが成り立ちます。トラストマークを発行し、維持審査していく側、保証を与える側になったほうがよさそう。
この立場は乱立しないほうがいいので、保証を与える側になるための審査は、厳しいものになるべきで、民間企業が行う場合には、有識者等によるなんらかの監視的な活動で補強してなどが望ましいでしょう。
国際連携
トラストマークも国境超え
ネットで買える便利な時代は、国境超えも容易です。売る側も、世界中に販売できる可能性があるのです。でも同時にトラブルも容易に国境を超えます。信用の保証も国境を超えなくてはならなくなりました。
TRUSTeは米国の機関ですが日本でも対応しています。ただ、国内向けのトラストマークを発行する機関が他国でも同じ保証をするトラストマークを発行するのはコストが多大です。先行者利益を得る時期でもありません。
連携国際機関
各国で同様のトラストマークを発行している機関が集まってNGOを作りました。その名もWTA(World Trustmark Alliance)
World Trustmark Alliance - Home
もともとはアジア太平洋を中心とした範囲でしたが、その後、欧州のEURO Labelと南アメリカのeConfianzaが参加して、WTAとなり、香港に登記して活動を継続拡大しています。その目的は。。。
共通のガイドライン
この目的は、相互に相手国の認証をできるようにしようということです。そうすれば、加盟国のどこかで取得したトラストマークは、他の加盟国でも同様の保証品質であるということになり、消費者が安心して購入することができるようになることを目指しています。
各国で実施している基準をもとに、標準的なガイドラインをまとめ、 各国内で発行するトラストマークの審査は、このWTAガイドラインに基づいて行われています。
※株式会社TradeSafeが、民間企業としてトラストマークを発行し、WTAにもメンバーとして2007年から参加しています。
World Trustmark Alliance - Pacific Trade
まとめ
加盟の条件
29カ国が加盟し、さらに新たな提携も進行中です。またAPECのゲストシートメンバーにも認定され、WTAからは代表が参加しています。加盟には、1)自分の国内での2年以上の活動実績、2)メンバーからの承認 が条件となっています。
国内での実績がないまま国際連携への加盟を国内での普及に利用したい意向の加盟希望国もありますが、まずオブザーバーとして会議に参加してもらい、組織の情報や成功例を吸収し実績をあげてから正規メンバーとなることで国際連携の質を担保しています。