【読書/映画感想】20170922 クラウドテロリスト
邦題は、テロリスト側にたった翻訳になっているが、原題は、The Cloud Collector。テロリストの企てをインターネットから集めて暴いてリークして同士討ちさせて計画を阻止して捕まえるというものなので、テロリストが主人公なのではない。
ほぼ全編が情報分析と組織間の軋轢と責任のなすり付け合いの陰謀の話でテロ描写はホンのわずか。ダイハードのようなアクションを想像すると拍子抜けする。最先端のテクノロジーによる攻防もないので、ITアクションでもない。
NSAのジャック・アーヴァインのハッキングとMI5のサリー・ハニングの分析とひらめき、そして両者の協力で最終的にはテロを阻止し、首謀者を逮捕は出来なかったが無力化できてめでたしめでたしだが、アクション映画にありがちな、ハッキングアクションはあまりみられず、地味な分析こそが諜報の本筋なのがよくわかる。
ハッキングの本質も、情報がやりとりされているネットの空間に入り込むことは第一歩ではあるが、入り込めてもそこで飛び交う情報はまた複雑で暗号ーそれもコードによって暗号化されている暗号ではなくて、諺だったり、動画の登場人物が腕にはめている腕時計が指し示す時刻だったり、メールアドレスそのものが暗号だったりするのだ。それらを見つけるのは計算ではなくひらめきや視点の転換であり、結局は自分の頭で考えることからしか達成できない。
蚊のひとさしでライオン目から血を流す。
言葉そのものの意味だけでなくその背景にある意味付けにまで見識を持たないとなりたたない暗号を解読するのはそれはもう大変。アラブの諺に通じるには、勉強だけでは追いつけないよ。
オーシャンズ12のなかで、マツイとオーシャンとラスティが交わす意味不明のたとえばなしを思い出す。
- 赤道直下の動物がお世辞をいうとハロウィンと感謝祭が同時にくる。
- ポットカバーでクモを殺すが何年かたってあれば伯父だったとわかる。
これは諺ではなく単なる泥棒同士の隠語ですが。。。
業界用語といえば、タクシーと医者がTwitterで紹介されています。
パンダさん=交通取り締まり
大きな落とし物=大きな事件の犯人
ネギ=苦情(九条ネギより)
。。。
話がそれましたが。
これは映画化難しそう。忠実に映像化すると大事なところは心理描写になってしまう。ラブシーンもその後の内面のほうが面白いし。
陰謀系の原作を映画化しても、原作に忠実だとエンターテイメントにならないのは、過去の映画、例えば、「大統領の陰謀」などが見る人によってはイマイチになってしまうのは、そういう理由からだろう。