【読書/映画感想】20171027 プラチナタウンから和僑へ
4年前、故郷に地方創生を目指して会社を設立するちょっと前、楡周平の「プラチナタウン」に膝を叩いた。そのまま実現するのは無理だとしても同じような発想でなにかやれそうだと。
そして4年。実はまだ自分たちは地方特有のちがらみに苦しんでいる。人口が増えず仕事も増えないので、仕事量そのものをどう確保するかに苦慮している。
小説は、成功し活性化し息を吹き返した街での新たな動き。
もっと投資してプラチナタウンを拡大するべきだという勢力と、さらに将来を見越して、人口の減少がもたらすさらなる再度のもう一段の過疎化を憂う現町長、海外から里帰りした経営者が目をつけた日本の食ビジネスの海外展開の可能性、それらがせめぎあい協力しあって、ついに町長が決断する和僑への道筋。
市場を増やすということに目がいかなくなってしまっているのは正に今の我々ではないか。これまで購買力のある日本人1億人を相手に商売をしてきて、そのパイをいかに取り合うかに終始してきた。どうしても、効率化にばかり目がいってしまう。国内市場を広げるチャレンジの可能性と失敗する可能性だけの比較。国内市場がないとしたらどうするのか、販路を広げることを先に考えなければいけない状況に陥ったことがないビジネスマンがほとんどなのだ。
人口が減っていくなら、国内の他県に市場を求めても先は見えている。国外に市場を求めなければならないはずだ。日本は減るが海外の人口は増え続けている。市場でなかった途上国が市場になり始めている。
中国人が華僑になって世界中に散らばっていく理由は、国を信じないからだという。いつ財産没収されるかわからない歴史。海外でも一箇所ではリスクが分散できない。世界中に散らばって生き延びるのが知恵だった。
迫害されたユダヤ人が生きながらえたのは、世界中に知恵と宝石をもって散らばって言ったからだという。
今のイスラエルでは、男子は13歳、女子は12歳で、バルミツバとバットミツバという成人式的な儀式を迎える。ここでのご祝儀は300万円分くらい集まるそうだが、彼らはこれを貯金し、18歳あるいは22歳ごろに、世界を旅するために使う。最初から世界を相手にしていくことを前提にしているのだ。国内市場が狭いことがわかっているからだ。
成人式には出なくても|“法務がHomeにやってきた”~Homu is coming Home.~|Lifestyle|Read. Know/Inspiring Material|QuonNet
日本もそうしなければ、やばて滅びるのかもしれない。少なくともジリ貧にはなってしまいそうだ。
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「こげな酒飲んだごどねぇべす」
小説内の登場人物で、訛りとれないおじいちゃんと話していたために方言が身についてしまった米国人のジュリーが愛らしい。