【半蔵門ビジネス雑談】20180131 わがままなプライバシー
時々行くコンビニで対応した男性店員が、レジに品物を出した時に
「どうも”いつも”ありがとうございます!」と大声で言った。そのあと、
「ポイントカードはありますか」と聞いてきて、
「ないです」と答えると、また、
「”いつも”ありがとうございます。」と大声でいい、最後にお釣りを渡しながら、
「”いつも”どうもありがとうございます。」とまた言った。
なんだか恥ずかしくなってしまった。確かに”いつも”来ているけれど、そのことを店にいる他のお客さんに知られてしまったような気がしたからだ。
そしてだんだんとムカついてきた。この男性店員は、
”いつも来ている”という
”私のプライバシー”を
”不特定多数”に、
”私の許可なく”、
”ばらまいている”
と。
(よし!指摘してやろう!)と声を出そうとすると、
「あら?いらっしゃいませ!いつもありがとうございます!」と、馴染みの女性店員が声をかけてきた。
出鼻をくじかれて、「あ、どうも」と答える。
「今日はちょっと早めですね」と女性店員。
「そうなんです。昼一で外出するので」
「頑張ってください」
「ありがとう」
。。。
あれ?
またまた、「いつもはもっと早めにくる」というプライバシーをばら撒かれた。。。
プライバシーを誰にばらされたか
でも、今度はムカついていない。
この女性店員とは、以前からよく言葉を交わしていて顔なじみだ。世間話もよくしている。これに対して先ほどの男性店員はいつもはレジにいないので初めての対応に近い。
この心理はなんだろう?
オフィスに戻って考えてみる。
「この店によくくる」というプライバシーをバラされたのはどちらの店員も同じであるのに、男性店員には不快感を抱き、女性店員には、特にそう感じない。男性、女性の違い?実は男性店員は他にもいて、その人も「いつもありがとうございます」というのだ。この店員にもやはり不快には思わない。顔なじみだからだ。
すると、「どのプライバシーをばらされたか」ということと、「誰にばらされたか」ということが重要になってくるのだろうか?
どんなプライバシーか?
コンビニの隣に割といい感じのイタリアンレストランがある。ここはランチでもディナーでも常連で、友人も多く連れて行っていて、店の人とも顔なじみだ。だから、いつでも「いつもありがとうございます」と言われるし、友人のことや、娘のことなども立ち話で出てくる。当然、他のお客さんにも聞かれているに違いない。
しかし、ここで「いつも来ている」というプライバシーをバラされても不快ではない。男性スタッフもいて、その彼にも不快感はない。新しく入った男性店員にも言われるようになったがやはり不快ではない。「コンビニにいつもいく」というプライバシーはバラされたくないが、「素敵なレストランの常連である」というプライバシーはむしろバラされてもいいのかもしれない。
プライバシーは相対的
プライバシーの内容によって暴露されたくないのかとも思うが、極秘の極秘事項でも、たとえば美女との関係におけるものなら、バラされても不快にならない可能性もありそうだ。美女ではなくおっさんとの関係だったら死んでもバラされたくないものもあるかもしれない。
セクハラは昔スキンシップと言っていたが、相手によってはセクハラにならない場合もあることは周知のこと。プライバシーもこのように相対的なものなのだ。
そして結局は、人間の信頼関係によって左右される。プライバシーの問題は、つきつめると信頼関係にいきつく。
初めての取引相手には当然警戒する。相手も慎重になる。しかし、慎重にされると、「なにか怪しい」とも思えてしまう。信頼関係ができた相手には、多少慎重でなくても、「信頼がおけるから」という主観で、警戒は薄れる。なんとまあやりにくい。
プライバシーはわがままなのだ。
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