【半蔵門ビジネス雑談】20180306 既存のADR手続きをIT化することを考えてみる
裁判プロセスをIT化する動きは進み始めた。
ここでは今後のADR機関でのIT化対応を考えてみる。
大きな方向性として
以下の2つがある。
1.現在のADRの手続きのIT化路線
これまでの手順を踏襲しているが、IT化によりオンラインで手続きが行えるようになる。申し立て、書類の提出、あっせん人の選任、途中手続きの状態参照、あっせんの途中離脱、仲裁への移行、期日の調整や確認、期日へのオンライン参加、あっせん契約への同意などが、オンラインでも行える。
利用者への利便性が向上し、スタッフ側の負担も減ることで、費用の低減またはサービスの向上が見込まれる。
しかし、既存の手続きを踏襲するので画期的な効率化ではなく、IT化による効率化に限られる。
2.IT化(オンラインADR)による新設プロセス
すべてオンラインで行えるようにする。申し立て、書類の提出、あっせん人の選任、途中手続きの状態参照、あっせんの途中離脱、仲裁への移行、期日の調整や確認、期日へのオンライン参加、あっせん契約への同意などが、すべてオンラインで”のみ”行われる。
利用者への利便性が向上し、スタッフ側の負担も減ることで、費用の低減またはサービスの向上が見込まれる。
効率化されたシステムにあわせてプロセスを変えていくので、枠に捉われない革新となりうるが、法制度まで影響し変更をすることになる可能性があり、ハードルは高くなる。
がありうるだろう。
現状の手続きをIT化していく
前者では、現状の手続きをIT化していく。
現在の「手続きの流れ」はどうなっているのか?
1)申し立て
申し立て用紙をダウンロードして手書きで持参または郵送
申し立て費用は1万円など
本人確認書類が必要。
手続きへの合意。個人情報取扱の合意。が必要。
申し立て用紙への記載は比較的自由だが、紛争の種類(離婚、相続などの)に応じて、申し立てる項目は違う。
紛争ごとの記入例が用意されている。
2)手続き
手続きは「あっせん」と「仲裁」に分岐している。
どちらも相手の応諾が必要で、応諾ないとそれで終了
あっせん人、仲裁人の選任を行なう
代理人がつくなら代理人を経由する
応諾あれば期日を調整、設定
ヒアリングなどを期日に実施
期日は複数回、これは機関による
場所は、機関の設備などで行なわれる
3)手続き管理
(あっせん)
期日
- 日程の決め方、案内の出し方、応諾の仕方
仲裁への移行
- 通知の仕方、仲裁への同意の方法、それまでの開示事項や結果の渡し方
和解成立
- 和解契約書
(仲裁)
仲裁審理
和解歓試
仲裁判断
仲裁判断書
IT化によりどうなるのか、問題となりそうなのは何か。明確にする必要がある。
1)申し立て
IT化により記載は選択肢中心による入力で、選択肢が示されることにより、申し立て者の考えを整理するきっかけになるだろう。一方、機関側は情報整理の効率化に繋がるだろう。結果的にこれは、申し立て費用の低価格化に繋がる。
書けない項目は自由記述(ADR機関で内容を把握してデータ化、申し立て者に確認)となる。
オンライン化により、来訪、郵送、に加えて新しい選択肢=オンラインとなる。
紙の出力は減る。管理もそのままシステム化されるので、効率化される。
営業時間以外の申し立ても可能となる。機関側は、対応時間に多様性を持たせることができる。
2)手続き
専門家のリストは登録更新がIT化され、事務手続きの低減になる。
手順のステータスを管理してその人がするべきことを画面で表示確認できる
(これまでの手続きと今すべきこと、これからのことをわかるようにする)
※機器を使えないことを理由にした途中離脱をどこまで許すか、防ぐか
手続き分岐として、「オンラインADR」「オンライン仲裁」を設けるか?
(オンラインADR専門の機関の設立も選択肢となるかもしれない)
文書のデジタル化とその閲覧のオンライン化を共通の機能としておく
オンラインADR,仲裁の場合、費用を安くできる
期日はオンライン上で行なわれる
スカイプによる3者が集まれる期日を実施可能
Skypeを使用しない場合は文字ベースでの期日を実施する
3)手続き管理
現状のタイムリーに電子化する。
具体的には、オンラインで申し立てた情報、オンライン化した情報は、申し立て人、相手方ともに、ログインして状況を確認できるようにする。これは、事務手続きの低減に繋がる。
チャットやメールによる質問も可能とする。利用者への利便を図れる。
また事務方の作業時間の自由化に繋がる。セキュリティ条件が整えば、機関以外からの手続き管理も可能である。
IT化(オンラインADR)による新設プロセス
こちらは、全てのプロセスをオンラインのみで行なうことを前提とするが、それによって、手続きが変わってくる可能性がある。そうなると場合によっては、法的な改正が必要になるかもしれない。それはまた別のハードルとなる。
これについては、政府による検討会でも議論されると考えられるので、ここでは控える。というか、難しい!!