プライバシーは無料と引き換え。。じゃない【半蔵門ビジネス雑談】20180820
インターネットは、「無料」が一つの大きな潮流で続けられ広まってきた。接続回線、プロバイダーは有料だが、ブラウザー、メールアプリ、文書作成、表計算、プレゼンテーションをはじめとして、アプリケーションは無料のものが多く、それが利用者を広げる大きな原動力の一つであるのは明白だ。しかし、それらが税金で賄われるのではなく、私企業の努力によるものであれば、何らかの収益を得られなければ持続できない。そして、その収益モデルは、広告だった。
無料の代償
広告は、インターネットのおかげで、インターネット上では、個別のターゲットに一番効果的な広告を出すことが可能となった。ホテルを検索した人にはホテルの広告を、車の記事を見た人には、車の広告を出すという具合に。そして、そのためにプライバシー的な情報が使われ、取引されることになり、すでに無料で、便利を享受していた利用者は、「まあ、仕方ないか」という暗黙の了解になってしまった。
無料への転機
欧州GDPRの施行は、「便利でお得ならプライバシーは諦めるか」という潮流に転機をもたらすのかもしれない。
巨額の制裁金と域外企業への適用、プライバシーの権利への再認識で、無料でも権利は”データ主体”たる利用者にあるということをもう一度認識することになり、企業の対応もその点で分かれてくる。facebookやinstagramは、さっそく、同意の強制を行ったと見なされ、提訴されている。
一方、Appleは、次期OSのモハべで、そうしたSNSなどへのシステムレベルでのログインを廃止するようだ。
インフラ化の証
電気や水道、ガスなどのインフラは有料だ。インターネットは、インフラの一つとなった。そこで動くアプリケーションもインフラの一部だ。プライバシーを差し出さないなら有料もやむを得ない。
収益モデルのネタがこれまでのように使えなくなるのだとしたら、
「プライバシーを差し出すのが嫌なら有償ですよ」
ということにならざるを得ないだろう。収益が確保できなければ、便利なアプリケーションを提供し続けるのは難しい。
インターネットは、正々堂々とインフラの一つとなった。