ネットが万能とは限らない【半蔵門ビジネス雑談】20180904
ついついアマゾンで買ってしまう。
元々はブックストアだったが、今やなんでもある。送料がかからないものも多いし、届くのも早い。消費者としては、便利で安い方がいいとは思う。
しかし、街の店で買う人が少なくなり、やがて店が閉店してしまい、地方ではシャッター通りが増えていくのは本意ではない。なんでもネットで買うなら物流が手一杯になり、道路の渋滞も悪化するだろう。
また、その価格の低下傾向は、一生懸命政策でデフレを脱しようとしているのに、商品の価格があがらない一因だ。インフレ2%に近づかないのは、ネットの販売ルートの増加と充実による悪影響か。
「そんな店は淘汰されてしまえ」、
「店じまいするべきだ」
という声もあるかもしれない。一方で、
「街の活気がなくなれば経済の活力も衰えていく。」
ともいえる。
しかし、"もの"は売れなくても、それ以外のアクティビティに割く時間が増えれば消費スタイルも変わっていくだろう。質の高い食事やエンターテイメントの場所になっていくのも一つの経済活性化の可能性だ。
といいつつ、ローソンはネットで注文を受けて宅配するビジネスから撤退する。
スマホからの生鮮食品のネット販売は継続するが、それ以外からは撤退。利用者の伸び悩みが原因だが、物流にかかるコストを吸収するためには、利用者が増えないといけないが、するとまた物流の強化が必要となる。物流をいかに効率的に構築するかがポイントとなる。モノはネットでは運べない。
一方で、文字通り「猫も杓子も」ネットビジネスへ参入し、ソーシャルメディアの集客力と拡散力のすごさを体感してきた。大抵の店がネットでの販売を行い、その集客、宣伝ツールにはソーシャルメディアの口コミを活用している。
しかし、個人情報の使い方の問題をきっかけに、Facebookへの関わり方に大きな変化が生じつつある。伊東屋はFacebookでのページの閉鎖を決めた。
理由は手間のかかる割にビジネスに繋がりにくいことに加えて、個人情報の扱いへの疑念が生じていることだ。消費者の目線になればありうる選択だ。
当然、今後のFacebookの姿勢の変化を信じ、またビジネス上の効果を期待して、ソーシャルメディアをもっともっと活用していく企業もあるだろう。それは一つの考え方であり、選択肢だ。
物流にも影響する。「猫も杓子も」ネットビジネスに沸き、配送も価格競争とサービス競争。生鮮食品の扱いも開始され、当日配送にも拍車がかかる。しかし、大手のヤマト運輸は、配送員の労働環境に限界がきたと、当日配送から撤退を決めたのは昨年だ。
同時に値上げにも踏み切り、配送サービス合戦にもブレーキがかかる。
このように、ネットとビジネスの関わりは転機を迎えている。それぞれが個別に自分に最善の戦略を、戦術をとるようになってくる。それは正しい競争だ。
もし、ここでまた、「猫も杓子も」ネットビジネスから遠ざかるような動きをするなら、それこそがビジネスの危機かもしれない。