もつれた関係見直しのフレームワーク【半蔵門ビジネス雑談】20180919
もつれた関係を見直す検討を依頼されることがある。
もつれた状態は様々だが、もつれた構造の枠組みは大体似たようなものなので、状態をフレームに当てはめてみると道筋が見えてくる。
過去があって今がある。
つい過去から探りたくなるのだが、見直しの目的は過去をつつき犯人探しをすることではない。大切なのは、未来をどうするか。当事者同士の関係をどうするか。そのためにこれからどうするか。現在の関係が整理できて前に進んで、さらにその後どうするか。これらを導き出すことが目的である。
今はどういう状態か(現状から見た問題点、課題、不満など)
- 費用を払っているか/それに対しての成果やサービスはどうか
なんらかの費用を払っているなら、それは自社に債権があり、相手には債務があるということだ。成果やサービスが不満足な場合、客観的に見て債務が果たされていない場合には、見直し余地が見いだせる。
- やってもらえれば満足か
不満足は場合、費用に見合う成果やサービスが行われれば満足できるか。あるいは、むしろ、費用を下げるようにしたいのか。例えば、相手方が債務を果たしていないので、自分でそれを実行している場合などは、費用を下げる交渉のほうが現実的だ。
- それを実行するリソースがあるか
相手が債務を果たしていないとすると、それを実施しない理由はなにか?単に不誠実で行わないとすれば、それはサービス提供者あるいはメーカーとしての不履行でもある。債務不履行や不当利得に問える。しかし、もし、企業規模などで債務を実行するリソースがない場合には、時間がかかるし、自社が行なっているほうが市場にとってはよい結果となっている場合もある。
- 契約との不一致か
ここで過去の契約に立ち戻ってみる場合、契約されているのに実行していないのか?それなら債務不履行である
- 契約が現実に即していない
行われていない行為などが、契約書にはないが、本来は相手方が行うべき行為だった場合、契約にない行為をなし崩しでどちらかがやむなく行なっている場合原点に戻って、契約の改正を行うことになる。
- 状況や市場の変化か
それが市場や状況の変化により発生した場合もある。たとえば、法律の改正や相手国の関税、技術の進歩などによる変更だ。
もともとの契約はどうなっているか
- 契約書があるか
契約は口頭でも法的には成り立ってしまう。業界によっては契約書を残していなかったり、形式的は表面的なものだけしか残っていない場合もあるし、人によっては、特に日本では「契約書なんて硬いものにこだわるのは相手を信用していない証拠だ」と言い放つ人もいる。契約は契約書がなくても成立しているが、その根拠となるような参照できるもの(契約書、メモなど)がない場合も多い。=>見直しと契約のリニューアル
- 想定されていない状態か
契約書はあるが、今の状態がそもそも想定されていない場合もある。例えば、そんなにビジネスがうまくいくとは思っていなくて、継続性が考慮されていなかった場合や、周囲の状況、技術の進化などに対応することを含んでいない場合もある。=>見直しと契約のリニューアル
- 契約はリスクの分散でもある
契約書に書いてあったとしてもあきらめなくてもよい。契約が公平だったかどうか。力関係や法的知識の違いで、うまくリスク分散がされていなかったり、どんな場合でも責任を負わないなどの一方的な条項が組み込まれている場合もある。権利の濫用ということもありうる。
継続しない選択肢
時に、もう相手方との関係を断ち切ってしまいたいという場合もあろう。その場合でも、顧客がいる場合には、サービスや供給をやめるわけにはいかない。
- 例えば代替があるか
例えば、他の製品やサービスに置き換えるということもあろう。ただし、これは代替するものがある場合だ。選択肢がないなら、顧客に迷惑をかける可能性もあるし、場合によっては顧客を失ってしまうこともありうる。
- 買取、自社でやるか
現在の相手方の対応やスキルに不満で、顧客へのサービスが不十分になってしまうのなら、いっそ、買い取ってしまうというのも選択肢だ。ただ、この場合は、引き継いだあとのサービスや供給は自社で行うことになるので、リソースや事業性も検討することになる。
- 自分の/相手方の経営状況
万が一、契約を終了させ引き取ってしまうことができるとしても、それによって相手の経営が立ちいかなくなってしまう場合もあるだろう。その場合は、反対に権利の濫用になる可能性もあるので、注意が必要となる。
時間軸
- 様々な試みのあと不要にならないか
いろいろ検討し、対策をたて、契約をあらたにリニューアルしてめでたしとなるが、そもそも、今後の契約対象のビジネスの寿命はどれくらいになるのか。せっかく見直したのに、実はビジネスはもう終了で、契約見直しの意味がなかったなどという場合もよくある話。
見直しと契約のリニューアル
現状とそれぞれのリソース、ビジネスの継続性、ビジネスの規模、リスクの公平な分散、時間軸、双方の事業の継続性、今後の両社の関係性などを、総合的に見て、どうすべきかを想定し、契約の見直しとリニューアルを行う。
WIn-WInの関係が理想だがなかなかそうもいかない。どちらかだけが客観的に捉えて損をしている、得をしている状況から、公平な状況へ、そしてできれば未来に繋がるような見直しができることが望ましい。