「協議」して「決定」する【半蔵門ビジネス雑談】20181031
契約書には、契約業務の内容や期間、金額、その他具体的な諸条件が取り決められている。個別の契約の具体的な条項は、具体的だし直接的だし当事者には関心も高く理解もしやすいので、じっくり吟味し交渉し議論されることだろう。
その他に紛争になった場合の準拠法や裁判管轄地なども定型的ではあるが海外企業との契約や国内でも距離のある企業間の場合、裁判管轄が相手方の地元だとそこに出向いて争うことになるので、仮に実際に紛争にまでなることは希だとしても、よく見ないで合意してしまわないようにしたいものだ。
では契約書に取り決めのない事態が生じたら?
「協議」の条項があるだろう。こんな風に書いてある。
第N条 協議
本契約に定め無き事項及び各条項に関し疑義を生じた場合、甲乙誠意を持って協議解決するものとします。
この書き方は普通だ。双方誠意をもって協議し解決する。ただし、合意するとは書いていないのがミソだが、”解決”なのである程度のレベルの合意が含まれそうだ。
こう書いてある場合もある。
第N条 協議
本契約に定め無き事項及び各条項に関し疑義を生じた場合、甲乙誠意を持って協議し決定するものとします。
協議はするが、合意なくても「決定」できそうだ。決定者は力関係で決まりそうだ。
では、これでは?
第N条 協議
本契約に定め無き事項及び各条項に関し疑義を生じた場合、甲乙誠意を持って協議し、甲が決定するものとします。
「甲が決定」だ。協議すれば結局甲が決められることになる。
これだと?
第N条 協議
本契約に定め無き事項及び各条項に関し疑義を生じた場合、甲乙誠意を持って協議し、合意の上決定するものとします。
協議して合意しないと決定とならない。
協議の条項はあまり注意しない場合が多いのではないか?でも、揉めた時に威力を発揮するので、実はよく検討しておいたほうがいいのだ。