慶応授業2018【半蔵門ビジネス雑談】20181127
恒例となった慶応大学法科大学院でのODRのゲスト授業。今年で11回目である。
昨年は、生徒さんからこのような質問があった。
「なぜ日本ではODRが進んでいないのか?」
- 日本ではODRに限らずADRも今ひとつだ。これは裁判沙汰という言葉が示すように正義を果たすよりも争いがないことをよしとする国民性かもしれない。
- もう一つは、弁護士法の非弁提携があることで、例えばIT企業がシステムを構築しても事業化できにくいということがある。
先日、一橋大学主催で初の国際ODRシンポジウムが開催されたが、ここでのディスカッションで答えらしきものが見つかった。
- ある統計によれば、日本でも欧米なみの紛争が潜在的にある
- 米国では裁判するよりODRのほうがましだというインセンティブが働いている
- 欧州では越境取引を促進するために法制化したので進みやすくなった
- マンションの相談では行き場のない紛争の種がオンラインで拾い出せる可能性がある
- 非弁行為は、”正当な行為”であれば違法性が阻却される可能性あり
(その他別途更新予定)
さて、2018年は11月21日に授業を行った。翌日から三田祭のため構内は準備でごった返す。しかし院生は関係なく出席は、約10名。
今年の質問は。。。
「日本では進んでいないが今後はODRは進むと思うか?」
これは、まさにこれからどうなるか、見守っていくべきことで、一言で表すことは難しい。しかし、いずれにしても、IT化は進んでいく。紙ベースの手続きが残っているが、いずれ乗り越えられる課題と認識している。
- 昨年から今年にかけて、複数のODRに関する動きが表面化(司法のIT化プロジェクト、日本ADR協会によるIT化に関するシンポジウム、APECでODRのフレームワークプロジェクト開始)
- 複数のODR関連ベンチャーが動き始めた
- リーガルテックイベントでも司法のIT化が取り上げられてきた
質問は昨年と同じだ。説明内容でその部分が強調されるせいもあるだろうが、やはり一番疑問に思うところだし、質問しやすいポイントでもあるだろう。
しかし、今年から本当に進むかもしれない。来年以降の質問は少し変わってくるかもしれない。そう期待している。
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