請求書の電子化【半蔵門ビジネス雑談】20190117
昨年のBLOGOS記事。請求書が紙で要求されることにすごく怒ってる有名ブロガー。
同感を抱いてはいたが、実際はどうなのか?
改めて自分でも自社の場合を元に考察してみる。
- 自社送付の請求書
自社の取り引き先で請求書を紙で送っているのは、91%。メール添付は9%。圧倒的に紙が多いが、電子化もそれなりにある。
- 自社受け取りの請求書
自社の受け取る請求書で紙でくるのは35%(11月の場合)、電子化されているのは65%。電子化が主流になってきているのか?しかし、これらには、電話会社、携帯会社なども含まれている。あたクラウドサービスの会社なども含まれている。
- 電子化で受け取った場合
月次集計時に印刷している。これは在宅で依頼している会計担当者に送付するため。以前は電子データを送っていたが作業効率や正確性の点から印刷して作業しているとのことなので、時間と印刷コストを負担されないようにそのように変更。
また、将来会計監査が入った際に備えて年間データを印刷してファイルしている。
- デジタル監査のためには
監査がデジタルだと、何をどのように渡すのか?なんらかの専用システムやデータ標準が必要になるだろうし、渡す側がそれに合わせてデータを揃える必要があるだろう。社内のデータ統一や窓口の一本化なども実務的には必要となる。そうでないと、結局、税務監査の際に誰かが全部印刷することになる。もしそうなら、単に紙出力の工程を先送りにしただけのことだ。
- システム対応できているかどうか
そうなると、請求書を受領する側がデジタル請求、会計、監査までに対応できているかどうかがポイントとなる。一方的に請求書をデジタル化して送りつけても誰かがどこかのタイミングで印刷し紙資料にしなくてはならない。
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税理士からの見解
- 国税関係書類に保存については原則、紙ベースとなります。
- 書類を電子化して保存する場合は開始3ヶ月前までに税務署に承認申請を行う必要がありますが、電子保存についてはかなり事細かい要件があり、実際にはあまり進んでいないのが現状です。
- 電子帳簿保存法では、受領書類、発行書類ともに、監査に備えて、1)記録の修正履歴などの確保、2)帳簿間での相互関連性、3)検索性 の確保が求められ、守られていない場合青色申告が取り消される可能性もあり。
- 結局、適用には要件を具備した電子計算処理システム等が必要となります。
- ちなみに、スキャナ保存の要件のひとつで入力期間の制限がありますが、これまで受領者以外の者が電子化を行う必要がありましたが、H28年9月の規制緩和において、領収書受領者本人が電子化する場合の特例方式が追加されました。
- 上記受領者本人が電子化する場合は受領後、自筆でフルネームを署名して、3日以内に電子化を行う必要があり、期限を過ぎてしまった領収書等については、紙ベースでの保管が必要となります。まめに保存しないとダメだということ。これらもコスト要因です。
- また従業員がいない場合、相互けん制の要件を満たさないため、税理士の定期的な検査(最低年1回)が必要となり検査終了後、領収書等の廃棄が可能となります。
- 税務調査については、調査官がパソコンで自らデータの検索を行って調査することも考えられます。
請求書の一方的なデジタル化は、新たなブラックを生み出してしまいそうだ。