自由を守るために自由は抑制される【半蔵門ビジネス雑談】20190212
個人情報プライバシーは重要だ
欧州では昨年、GDPRが成立し、施行された。厳しい罰則は議論を呼び、企業は対応に苦慮している。GAFAの一部に罰則適用も行われそうだ。
スノーデンは、米国政府による違法なデータアクセスを暴露して、他国に逃れて、警鐘を鳴らし続けている。
プライバシーを覗かれるのはもってのほかだ。またそれらを自分の意思で書き換えたり、アクセスを制限したり、消したりすることは守られるべき重要な権利であるという認識も広まった。
サイバー攻撃のリスクは高まっている
一方、サイバー攻撃のリスクは高まっている。デジタルでの障害が起きてアクセスが制限されると大ごとになるのは、昨年のSBの通信網麻痺で(これはサイバー攻撃が原因ではなかったが)改めて着目され重要視された。
アクション映画などでも題材になっているように、電話網だけでなく、電力網、金融、公共交通機関などへの攻撃は、経済活動に影響を与え、国家経済、国家防衛にまで影響することになる。
明確な紛争状態にある国では、サイバー防衛力が影響を及ぼす範囲(紛争でなくても、サイバー攻撃の対象にはなるので、紛争国でなくても同じだが)は、今まさに死活的な判断をどうするかということに直結している。
国家としてのサイバー防衛
国家としてのサイバー防衛のためには、サイバー防衛システムを維持管理する機関は必要だ。記事にもあるように「日常的に必要データを収集し、関連機関と情報を共有し、攻撃をリアルタイムで特定し、対処できるようにしなければならない」。問題は、そうした機関が力を持ちすぎてしまうこと、なんでも制御できてしまうことだろう。
サイバー攻撃に関わる情報は日常的にネット上を流れている。だからこれらを監視し、補足することは必要だ。だからといってこれらを当局が監視するために覗けることはどこまで許されることなのか?ゆるされるべきなのか?
そうなると、SNSで、政府批判は危険とされることになるのだろうか?
そうしたことを防ぐために、通常は法律で当局の監視権限を規制することになる。
考えは堂々巡りする
脅威となる情報例えばテロの実行のための情報が愛の囁きに紛れてやりとりされていることだってある。小説「クラウド・テロリスト」では、アダルト動画の撮影情報に混じった重要な暗号がやりとりされた。
国民をまもるために、監視するが、やりすぎないように監視される。でも、監視する側が悪者だったら?
考えは堂々巡りする。
平和な国家の平和前提の法律でいいのか?
紛争国家の監視機関よりの法律がいいのか?
自由を守るために自由は抑制されるべきか否か。
結局、秘密裏の監視が有効で、その利用公開が抑制されるのが解なのだろうか。