皮肉こそ文化? 【半蔵門ビジネス雑談】20190425
「じゃあまた会いましょう」
「お世話になりました。また何かありましたら連絡しますね。」
パーティーなどで初めてあった人と別れ際によくかわす一般的な会話だ。しかし、これ、大抵の場合、連絡することはまずない。
が、このフレーズがあることにより、別れ際に連絡する確約をすることもなく、かつ、期待がなくなったわけでもない状態の関係を創り出すことができる。「連絡します」は「何かありましたら」の条件付き。嘘はついていない。
社交辞令は文化の一つと思う。言葉本来の意味とは別の場合によっては真逆の意味を持って使われている。関係を悪化させないための社交辞令文化。
「今度遊びにおいでよ、ご飯食べにおいでよ」
これも額面通りではない。本当にさそってくれたと思って遊びにいってご飯を食べようとは思わないことだ。私でも実際には行かないが、素朴な後輩が一度休日に来たことがあって戸惑ったことがあった。よく考えると、実際にお呼ばれに行ってみてもおかしくはないフレーズだ。呼んだ方も呼ばれた方もその気はないが、まさに社交辞令として浸透している一つだ。
日本語は裏表があるとよく言われるが、他国ではどうなのだろう?英語ではどうかと調べて見ると、日本語以上に複雑怪奇 笑 しかも、どうやら英国人の使うフレーズの裏の意味は米国人にも読み取れないらしい。
「I hear what you say(聞いているよ)」というフレーズ。イギリス人の意図は「I disagree and do not want to discuss it further(同意しないし、これ以上議論したくはない)」
米国では素直に聞いてくれていると解釈するそうだ。
日本では、英国よりか?そもそも、このフレーズを発するのは、「ちょっと!聞いてるの!?」と問われているだろうから、聞いていないのがばれている場合だろう。それに対して、ああ!聞いてる聞いてるといい加減に返事するお父さんの姿が浮かぶ。
「I would suggest…(提案するが…)」は、イギリス人的解釈ならば「Do it or be prepared to justify yourself(こうするべき、もしくは自らを正当化しろ)」
米国人は素直に受け取るそうだ。
私も会議などで言われると素直に受け取っている。いいアイデアなら取り入れるが、そうでない場合は取り入れない。でも、ほとんどの場合、実際にいいアイデアなので、取り入れているかな。
「With the greatest respect…(最大の敬意をこめて言うが…)」は、通常ネガティブな意見を伝えたいが相手を傷つけることを避けたい時に使う表現だそうで、イギリス人がこれを言う時は「I think you are an idiot(あなたはバカだと思う)」
米国人は話を聞いてくれていてその上での反論と好意的だ。
私は日本語でいうところの「否定するわけじゃないけどね」の意味と理解していた。英国的かも。
日本の例で挙げた、「食事への招待」社交辞令は英国でもあった。
「You must come for dinner(ディナーにおいでよ)」と言われた時。それがイギリス人の口から出たならば要注意だ。何故ならば、57%は食事への誘いではなく社交辞令だととらえているから。
日本と同様に社交辞令だが、米国人は額面通り捉えるようだ。英国人には、日本と同じ感覚で言ってもよさそうだが、米国人は、次の日曜にやってくるかもしれない。
これらは若者言葉でないオフィシャルなスラングとでもいおうか。やはり皮肉は文化的だ。