立ち上がれ ODR!でもあえて少し悲観的【半蔵門ビジネス雑談】20190716
ODRの協調枠組みを決めていくAPECのWORKSHOPが再び大阪で開催された。当社は、2つのセッションに登壇。
最初の役割は、日本で初めてであろうODRの民間企業がデモを披露するのでその通訳的位置付け。でも、10年以上関わってきてやっと出てきたベンチャーの紹介なので感無量でもある。
APECでは、
- コラボレーティブフレームワークと呼ばれる共通の手順ガイドを作成し、
- それに準じたサービスを提供できる機関や企業をパイロットとして募集する
- 参加パイロットは、APECの推奨リストに掲載され
- 各国で活動できるように広報される
- パイロット機関、企業は、APECに半期ごとに扱い件数の状況などを報告する
どういう機関や企業がパイロットになっていくかは、各国の考え方によるので、積極的に参加する国もあれば、様子見のところも出てくる。APEC自体は、財務的な支援は一切しない。それは越境プライバシーマーク制度の時でもそうだった。
あくまで共通のルールを作りそれを推奨し、経済を活性化するという動きになるのだ。それはわかった上で、APECへの期待を問われたので、
ODRプロバイダーを増やしていくために、企業の自発的な名乗りだけでなく、例えば、各国の仲裁センターなど半分公的な機関がODRを提供するようにしてはどうか?
といってみた。が。
案の定、
「APECでは各経済圏への強制力はない。各国が考え実行することである。」
とサラッと返された。それはそうだ。各国に主権があるのであるからね。
今後、日本はどうなるだろう?
日本では折しもODRが盛り上がってきた。
- 一橋大学で日本初の国際ODRシンポジウムが開催され
- ADR協会のシンポジウム、研究会でもテーマとなり
- それらが新聞記事にもなり、紙面に初めてODRの3文字が掲載され
- 政府は司法のIT化を進めるプロジェクトを立ち上げた
- そして、内閣府は未来投資戦略の中にODRという言葉を組み込んだ
各弁護士会でも、ODRを取り上げた勉強会を開催している。
いよいよ花開くのか。
しかし、なんだか悲観的な予感が漂ってしまう。
悲観的な理由は、
- ADR機関では、なぜODRをやる必要があるのかという声も聞かれる
- 件数が確保できるのか
- 今ですら手一杯なのにオンラインで件数が増えたらこなせない
- 利用者が使いこなせない、高齢者はどうするのか
- 開発する予算なんてない
- 投資は回収できるのか
- そもそも紛争はないほうがいいのに、増えないとビジネスにならないのではないか
そんな声ばかり聞こえてくるからだ
当たらないことを祈っている。