交渉と武力はセットだ! 紛争でしたら八田まで【読書/映画感想】20200612
初めての土地ミャンマーに行く前に、ポーカーで負かしたミャンマー人から1週間で学んだミャンマー語を駆使して、現地の民族紛争を決着させ、その足で、タンザニアの部族間抗争で拉致された女性を救いにいく。
八田百合(はった ゆり)。
地政学リスクコンサルタント。
隣同士は敵対する。八田の知性(チセイ)は地政の紛争の深い本質まで彫り下げる。
刺激的な、議論を呼びそうなセリフが散りばめられる。
- 交渉と武力はセットだ。
「交渉にしにきたのに、銃を持っているのか?」という相手の質問に答える八田。
「交渉と武力はセットだ。これ世界常識」
反対論者が狂って食ってかかりそうなセリフ。
仕事の交渉に、本当に交渉だけで交渉しにいく人がいる。そういう人はほとんど手ぶら。お菓子やおまんじゅうのお土産をもっていけということではないよ、もちろん。
交渉するときに、
なにから話すか、
何を受け入れるか、
何は譲れないか、
押すのはどこか、
引くのかなにか、
答えないのはどの点か、
そうした理論武器を用意しないで、相手の出方に自分の機転だけで対処しようとする人の多いこと。そうした人はいう。「交渉は苦手だ」と。誰だって苦手なのだ。その場での機転だけで対処する交渉など、討ち死にが関の山。交渉上手は、武器を理論を携えている。
交渉と武力(攻め手)はセットなのだ。そうでなければ実は交渉にならない。お願いするだけになり、無論、有利な結果は望めない。
- 分断された世界は儲かる。
分断はさまざまな理由で起こる。分断は差を生む。差は埋める方向に動く。水が流れるように。同時に差を広げる方向にも動く。富めるものが更に富むように。差を埋める方向に動くことで儲けるやつがいるし、差を広げることで、さらに儲けを広げようとするやつがいる。分断は差をうみ、差は儲けを生む。
- 地政と知性とチセイ
この巻での紛争の根本原因は民族部族紛争だ。隣り合った部族つまり土地間の紛争。地政的紛争。世界地図には、地学的な国境ではなく、「Political Map」とタイトルが付いている。この世界は紛争がつきまとう。自国民のために地政を争う。争いの原因を探し突き止め解決に導くには知性がいる。地政の紛争を知性で解決に導くそれが八田のチセイ。
ちなみに、アクションシーンでの決め技はプロレス技なのはご愛嬌。
続きが楽しみな新作が登場したものだ。