半蔵門御散歩雑談/ODR Pickups

株式会社ODR Room Network

このブログは、株式会社ODR Room Networkのお客様へのWeekly reportに掲載されている内容をアーカイブしたものです。但し、一部の記事を除きます。ODRについての状況、国際会議の参加報告、ビジネスよもやま話、台湾たまにロードレーサーの話題など、半蔵門やたまプラーザ付近を歩きながら雑談するように。

商談のスピードと誠実さのジレンマ

商談のスピードと誠実さのジレンマ【半蔵門ビジネス雑談】20200629

 

昔先輩が言っていた。

 

「営業と技術のせめぎ合いを見ていると、世界平和はなくならないと思えてくる。」

 

先輩が学んだマーケティングの学校で紹介されていた事例は、ある大手新聞社のやり手営業と制作部門の議論?だった。

 

「こんな記事じゃ売れるわけない!」

「どんなゴミ記事だって売ってきてみせる。XX新聞とだけ印刷してあれば、白紙だって売ってくる」

 

売れるのは、自分の営業力と信用力があるからだという営業。

いい記事でなければ売れないし、出したくもない。売れたとしても信用されなくなるという制作。

 

顧客へのサービスや製品の提供により顧客満足を満たすという共通の目標をもつ営業と制作なのに、そのアプローチ、力点の違い、スキル領域の違いにより、解決不可能と思えるくらいの衝突の谷へ滑落する。

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  • 営業は、スピードを重視する。また、普段から行き来しているから情報も持っているが、制作部門にも同じ情報を持っていることを前提にした提案スピードを期待し、多少のすれ違いは自分の信用力で調整し、先へすすめようとする。
  • 制作は質を重視する。もちろん、十分な情報を得た上ではスピード重視に力点は移るが、何も知らないうちから、ありがちな想定による単にスピードだけの提案は、むしろ顧客に失礼だと感じている。
  • 顧客は、自分のところにあった、タイムリーでキャッチーな提案をスピード感を持って提案してほしいと望む。

 

営業は言う。

「早く決めよう」 「今がチャンスだ」 「アピールする提案を先にぶつけよう」 「ビジネスはスピード勝負」

営業の思惑としては、

話を聞いてからでは遅いし、話をきかなくてもいくつかの実績や事例、メモ的なサンプルを持っていけば、ニーズにヒットするかもしれない。そのほうが、さすがプロ、いろいろなアイデアがあるなと感心させ、商談をまとめることができるだろう。

あえて言えば、商談を前に進めるための「見せ球」が欲しいのだ。

 

技術/制作は力説する。

「背景調査が大事だ」 「まずは話を聞かないと」 「懐にも入れていない」 「この状態での提案は不誠実だ」

技術の思いは、

誰にも当てはまる提案などない、しっかり話や思いを聞いて、顧客の懐具合にも考慮して、かつ、顧客のビジネスへの効果が現れるような企画、提案をすることで、短期的にも長期的にも、顧客にも、その顧客にも、ひいてはこの商談を売り込んでいる自分たちにも、持続可能なよい結果が生み出されるだろう。

 

 

だから今日も営業と制作は膝を突き合わせて喧々諤々、意見をぶつけ合う。

誠実さとスピードを両立させるために。

そして、商談のスピードと誠実さのジレンマはまだ続いていくのである。