契約書で押印は必ずしも必要ないというものの【半蔵門ビジネス雑談】20200713
日経の記事がハンコ不要の政府見解を報道している。
これによれば、内閣府、法務省、経済産業省などの政府見解では、
「契約書に押印しなくても法律違反にならないと民事訴訟法上のルールを明確にした。」
「特段の定めがある場合を除き、押印しなくても契約の効力に影響は生じない」
とした。
押印についてのQ&A(内閣府、法務省、経済産業省)
不動産取引や取締役会などは特段の定めがあるが、ビジネスの契約書は、メール本文と送受信履歴、送受信者が本人かどうかの証明ができれば効力があるという見解だ。
契約書は、通常多くの場合、
(1)ワープロで作成し、
(2)その内容を確認するためにメールに添付してやりとりし、
(3)内容に合意であれば書面を作成し、
(4)双方が押印してその内容を証明する
方法がとられているが、
(1)(2)+そのメールを送受信したのが本人であると証明されれば有効という見解が今回明示された。ハンコは必ずしも必要ないという。
民事訴訟法では、署名やハンコでその成立を推定するが、実際には裁判所はそれ以外の方法でも成立を判断しているということが今回の見解の背景にある。
当社で、半年くらい前に、電子契約システムの商談があり、その時は
「双方がシステムを導入しなくてはいけない」
ことがネックとなりストップしてしまった。
が、ハンコを使わずにという流れは起きている。
自粛で在宅ワーク中、ハンコのために出社するという事態が、本当に起こっていたのかは定かではないが、少なくともそういうCMは見かけた。ハンコはすっかりワルモノだ。
今回の発表は「見解」なので、そのような判例が出揃うまでは、ハンコなくてもいいと手放しに喜んで反応はしないほうがいいと思う。
実務的には、自粛期間中はハンコのためだけに無理に出社することはしないで、前述の手順が契約成立とその証明の裏付けにはなる、証明はあるということでビジネスは進め、ハンコは”あとで”押すということになるのだろう。
もうひとつ、実務的には、社印、個人印、社印などを白い紙に押印してそれをスキャンし、透過色を設定して、契約書や請求書などにはりつけて、PDF化したものをやりとりし、前述のメールで成立を約することを保存しておくこともひとつの方法だろう。この方法が現実的に思える。
最終的、法的にはそのメールや書類が改ざんされていないことを証する必要はあるだろうが。
電子契約のシステムは、この点がしっかり証明できるということが重要なポイントだ。
ハンコがないことだけにとらわれすぎてはいけない。