お局美智 経理女子の特命調査【読書/映画感想】20200915
ベテラン経理社員の美智は、お局と言われながらも、仕事ができて、会社のことはなんでも知っている。スーパー社員というわけでもなく、ただ会社が平穏でいられればいいと思っている。しかし美智には会長からの極秘任務があった。会社中、スマホにも仕掛けられた盗聴システムによって社員の会話を聞き、不穏な兆候があれば会長に報告する。時には報告する前に自分で対処して危機を未然に防ぐこともある。それも会社が平穏でいればいいと思ってのこと。
社内の企みやクーデター、不倫や不満を聞いているうちに、銀行から派遣されてきた顧問の会話から会社買収の動きを察知する。さらに、企みが発覚して会社をさった常務から、「猫にご用心」と不思議なメッセージが届くが。。。
スパイ映画さながらの盗聴システムは、中小企業のシステムとしては大掛かりだ。こんなシステムが仕掛けられればトラブルシューターとして仕事になるかもしれない。でも、本来なら表面化されないトラブルを掘り起こしてそれを解決して仕事にするのはマッチポンプビジネスっであまりよろしくないか。
その昔、2チャンネルが盛り上がっていた頃、会社の評判を書いた掲示板を自社の会長が気にしていた。人事部長に捜査指示があり、人事部長は私に連絡してきた。内容や誰が書いているかを調査してくれという。まだプロバイダー責任制限法もなく、開示請求でも前例がなかったころで、弁護士も動きが鈍かった。結局、「こういう匿名の掲示板の内容は気にしないことだ」ということと、こうしたことを書かれないように、コンプライアンスを重視して、着実に経営していくことだという報告をした。そんなのが現実だ。
「特命係長 只野仁」みたいに、男性が主役のこのパターンの場合、武術に通じて最終的にはアクション解決になるのが常だが、女性なのでそうはいかず、頭脳派、人脈、人誑し的に解決していく。逆にこのほうが現実的には自分でもできそうだ。こういう役割になりたかった。
よくあるおとぎ話で、情報を操って、トラブルを解決したり、ことを有利に運ぶスーパー探偵やスーパーサラリーマンのような話があるが、それはないと思う。情報は情報。SNSなどで拡散し、一時的な流れはできるかもしれない。そう。誹謗中傷で自殺する人も出ていたりはする。
でも、情報は情報。
いや。
自分が扱えないだけで情報は情報以上になるのかも。