コーヒブレイクに読む、喫茶店の物語【読書/映画感想】20210519
コーヒーブレイクに、喫茶店で読む、喫茶店を舞台にした文庫ってか。
舞台の喫茶店は確かに喫茶店だ。入り口の扉を押して入ると、カランカランと鈴が鳴り、壁には趣向性のある絵や、趣味性のコレクションが並ぶ。証明にはステンドグラス、あるいはスズランのような形状の装飾。カウンターにマスター、フロアには奥さんか娘さんか。喫煙もオッケーで、猫がいる店などね。そういった喫茶店が舞台。25編の話が掲載されている。
オシャレなカフェじゃない。喫茶店。こだわりのコーヒー設備があるような喫茶店は減ってきてしまった。コロナ禍でつぶれてしまうところも増えている。
東京事務所のある半蔵門駅周辺には、このような喫茶店がまだ残っている。もっとも、この1年、コロナ禍で訪れる回数が減ってしまい、今年になってはまだいっていないので、どこまで持ちこたえられるかは知る由もないが。
事務所の1Fにある喫茶は、喫煙可、ランチセットのパスタとコーヒーが特徴だ。時々、某有名タレントが一人新聞を読んでいる。大きなコーヒーを挽いたりするマシンがあって、寡黙な店長、静かなおばちゃん店員、花を模したシャンデリア、レシートは出ない、領収書は手書きだ。
事務所を出て右に歩いて15秒、おばちゃん二人でやっている喫茶は、煙草可、いつも常連で埋まっている。ランチのカレーセットは細長い昔ながらのお皿で辛めで美味しい。コーヒーもいい香りの硬派なコーヒーで、カウンター内のママはタバコをふかしている。おばちゃん二人が仕事のやり方で時々喧嘩をしているが常連たちは聞き流している。
少し坂を下りて行く。ちょっとしゃれた風情で夜のほうが賑わっているが、この喫茶も煙草可。カフェバー的風情だが雰囲気は昔ながらの喫茶店。ランチは少し手が込んでオシャレなメニューだ。夏はオープンカフェになるが、道路際のテーブルは使えないようだ。
喫茶店には物語が持ち込まれる。
不倫カップルの別れ話、情報商材の勧誘、おみくじ機の不思議な故障、若い芸妓さんの水揚げ、後継のいないしまったままの店、大量在庫の亜麻仁油の相談、珈琲占い、婚活ドリームチーム、ドッペルゲンガー。いずれもオシャレなカフェにはそぐわない。
私の青春の思い出も喫茶店にある。大学時代のおしゃれなカフェにはない。