月末キャッシュの裏話【半蔵門ビジネス雑談】20210816
サラリーマン時代のほとんどの時期は、まあまあ大手の企業にいて、売り上げや原価、利益には敏感だった。部門の業績目標は管理されていて、年間だけでなく、半期、四半期単位で目標管理の中にいたので、過不足については神経質に見ていたものだ。
その後、買収した子会社に管理担当役員として出向した際、出向先のベンチャー社長に最初に依頼されたのが、
「万代さん、A社への31日の支払いが遅れることを伝えてください。」
なぜかと聞くと、
「別のB社からの入金が万が一遅れた場合に、A社への支払いを先行すると他の取引先への支払いができなくなるからです。つまり現金が一時的に不足するかもしれない」
キャッシュがなくなれば倒産する事になる。
しかも、当社からの月末の入金をあてにしている小さい企業も数多く取引先にあるから、その企業の現金を不足させてしまい、同じく資金ショートによって倒産へ導いてしまうかもしれない。
キャッシュフローの管理にそれまで触れた事がなかった未熟さを痛感し、以降、非常に敏感にキャッシュフロー管理をしたことを覚えている。のちに私より遥かに大手からきた後任の社長にも同じようなお願いをすることになり、その人も「こういう管理にはこれまで触れた事がなかった。いい経験をした。」とおっしゃっていた。
今でもキャッシュフロー管理は徹底している。
さまざまな理由で月末の支払いが送金されないこともある。大抵、それらは1回ではないことが多く、少額の場合が多いので大事にはならないが、支払い先が資金ショートになるきっかけを自分が作る可能性を想像していないのかもしれない。
キャッシュフローを意識すると毎月くるはずの請求書が来ていないことにも敏感になる。請求書の出し忘れか、あるいは郵便事故で未着の場合、社内でどこかに紛れてしまった場合もあるだろう。そうした請求が来ていないと、結局後から請求が発生し、結局支払うことになるので、これまたキャッシュフローに影響する。
月末キャッシュが予定通り入金されないと、もちろん、督促はするがすぐに入金されない場合もあり、下手をすると個人口座から補填などもすることがある。小心者なので、そんなことも伝えられず、通帳の数字を見ながら電卓を叩く月末の裏話で、少し毒吐き。支払いは遅れずに。