半蔵門御散歩雑談/ODR Pickups

株式会社ODR Room Network

このブログは、株式会社ODR Room Networkのお客様へのWeekly reportに掲載されている内容をアーカイブしたものです。但し、一部の記事を除きます。ODRについての状況、国際会議の参加報告、ビジネスよもやま話、台湾たまにロードレーサーの話題など、半蔵門やたまプラーザ付近を歩きながら雑談するように。

炎上フェニックス IWGP XV II 石田衣良 著

炎上フェニックス IWGP XV II  石田衣良 著【読書/映画感想】20210921

 

池袋ウェストゲートパークシリーズの17巻。学生時代の通学路であり時間潰しの場であり待ち合わせの場であった当時は普通の西口公園=池袋ウェストゲートパークが舞台で、自分が置き忘れた「アオはる」が散りばめられた小説シリーズなので毎回ハードカバーの新書を買う。本よ!滅びるなの思い。

 

半グレ集団に脅かされる“パパ活女子”、
女性ばかりを狙う“ぶつかり男”、
トラブルに巻き込まれた“デリバリー配達員”

(以上amazon書籍紹介より抜粋)

炎上しつつも立ち上がる”女子アナウンサー”

らが登場する4編。池袋の街で起きている小さいが憎しみが暴走するトラブルがマコトに持ち込まれる。君臨するキングことタカシ、マコトに頼られマコトに助けられる刑事、果物屋を営む気風のいい母、Gボーイズ、電脳ゼロワン、らと連携して追い込んでいく様はもはや今では水戸黄門、G馬場の16文キックのように安定感のある決め技みたいに事件を解決、いや落とし所に着地させる。

 

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コロナの時代、小説もコロナの中で展開する。マスク、アルコール消毒、夜の街の自粛、そういうことと、そして、寄る年波のせいか、どの話にも今を映す切なさが漂い、鼻の奥がツンとして目頭が熱くなる瞬間が何度かあった。

風俗の中で純愛が見つかってもいいじゃないか。派手で威張ったことがない工業高校時代の先輩は宿題を助けてくれたっけ。先輩がピンチなら人肌脱ぐよ。氷のキングが見せる一面にヒーロー登場の感動。

女性や子供弱いものを狙うぶつかり男は給料日の水曜日に登場しついにリハビリに精を出すばあさんを転倒させ骨折させる。頑張っていたばあちゃんと見守る家族や街の人々が立ち上がる流れはこれもまた一致団結の感動で目頭が熱くなり、

企業は終身雇用、年功序列方式から成果主義に舵を切り、副業も認める方向にある。面接もなく学歴も問わず応募して採用されてあとはレストランやファストフードの前で注文をとるデリバリーサービスは盛況だ。それを利用した強盗事件はコロナで帰るに帰れない海外からの就業者がやむなく巻き込まれ、裏に潜む首謀者はダークウェブに隠れて出てこない.自分でも拘りの多いベトナム人労働者を思うとこれも怒りの涙腺が刺激される。

そして根も葉もない噂記事のタイトルだけで正義を匿名で振りかざすネット上の炎上。めげずに書き込み者を特定し裁判まで辞さない態度で相手を詰問するもそれぞれの事情を抱えた普通の人たちと分かれば、これもその姿にこちらの鼻の奥が涙腺を刺激する。2chが大流行りのころ同じような目に遭っていた友人の相談に乗っていたことを思い出し今はどうしているか思いを馳せる。

あの頃は良かったという思いと、もうそんな刺激には関わらないだろうという寂しさが、炎上すら羨ましく思わせるが、それに関わるパワーもないことを実感するその悲しさと寂しさとやるせなさがこの涙の本質かもしれないな。

アオハルよ。青い春よ。