半蔵門御散歩雑談/ODR Pickups

株式会社ODR Room Network

このブログは、株式会社ODR Room Networkのお客様へのWeekly reportに掲載されている内容をアーカイブしたものです。但し、一部の記事を除きます。ODRについての状況、国際会議の参加報告、ビジネスよもやま話、台湾たまにロードレーサーの話題など、半蔵門やたまプラーザ付近を歩きながら雑談するように。

仕事の内容は「メール処理」ですか

仕事の内容は「メール処理」ですか【たまプラビジネス余談放談】20211202

 

1995年に刊行された小説「その話はメールでしてくれ」。報告しようとする部下に、「その話はメールでしてくれ」と言って出かける社長は先進的な姿として紹介されていた。メールが企業の現場に普及し始めた頃である。

 

www.odr-room.net

 

さてそこから25年。時代は変化するものだ。状況は変わった。便利で業務を変革したメールはまた違う側面を仕事に見せている。

 

メール処理が殆どの時間を占めてしまった

どうやら一日中メールを処理をしているように見えるお客様のマネージャがいる。関連する仕事のメールだけで300通はあるという。単純に1通/1分で処理したとしても、300分=5時間。返事をしたり少しの検討をしたりするなら、1通/2分としても、600分=10時間を費やしている。文字通り朝から晩までメールだけで終わる。効率化のはずのメールが実業務を阻害する事態。

本来メールは仕事を遂行するための手段なはずだ。読む、返事する、などメールの処理そのものは、「仕事」ではないはずだ。何かの製造、何かのサービス提供。。。世の中に送り出す成果物を生み出すのが本来の業務なのに、メールの処理ばかりしている。。。手段であるメールの処理が仕事の時間の殆どを占めているのは手段が目的化があちこちで起こっているのではなかろうか。

C Cメールの増加

メール数が増加した理由は幾つかある。単純にメールでの連絡が増えたということもあるが、よく聞こえてくるのは、C Cメールの増加だ。C Cメールは、メールの便利な使い方の一つとして、主な送信先に加えて、内容を知っておいてほしい人にC C(カーボンコピー)を送るという使い方だ。例えば取引先の担当者への回答を自社内の関係者にC Cする、取引先の上司にC Cすることで、相手の担当者が内容をいちいち個別に報告する手間を省略する、などの使い方をする。前述のマネージャはメール処理の大半をこのC Cメールに目を通すことに費やしているという。

CCメールが増えた理由

C Cメールが増えたのは何故か。一つは、リモートワークにより管理者も担当者もリモートにいるためメールによる報告が増えたことだが、それ以前からC Cでの情報共有が増えたことによる。例えば1つのワーキングチームが10名で、リーダが1名とすると、9名からの報告が1名のリーダ宛に送られる場合でも、他のメンバーにも共有しようとして(1報告+8CCメール) x 9名=81通のメールが送られ、各メンバーも72通のC Cメールを受信することになる。複数のワーキングチームをまとめる上位の管理者には、複数のワーキングチーム(WT)を管理していれば、81通 x 3WT=243通のC Cを含めたメールが送られてくる。前述のリーダーの受診するメールに近いイメージになっている。

では、どうしていくか

実際、メール処理が管理者の仕事になっていくのかもしれないとしても、その時間を有意義なものにしていくために見直し続けることは必要だろう。どうしていくべきか。

・惰性的C Cの宛先見直し

そのC Cの送り先は適切だろうか。例えば、いつも全員に送るようならそれは必要な適切な送り先に絞るべきだし、秘密保持のルールによって限定されるべきものもあるだろう。過去がそうだったからというだけで既に送らなくてもいい宛先に送っていないだろうか。送り先の見直しは継続的に行わなければならない。

・メールの選別方法

到着したC Cメールを全て目を通す必要はあるのか。検索ワードによって優先度を決めたメールだけを先に閲覧確認して、そのフィルタにかからないメールは後からタイトルだけを見るなどなんらかの工夫により時間を減らす努力をしてみるのも必要だ。例えば私の場合、メールをフィルタにかけ、着信と同時に以下のようにメールボックスに分類されるようにしている。

(1)本文に自分の「名前」があるもの

これらは明らかに私宛のメールだ。ただのC Cメールには自分の名前が本文にない場合が多い。

(2)状況報告、実績報告、作業報告とタイトル記載のあるもの

業務上見ておかなければいけないものだ。

(3)特定のワード(”申込”など)を含む処理する必要のあるもの

これも”処理”しておかなければならない内容のメールだ、

 

こうした工夫により明らかに処理メール数は減らすことができる。

 

その他のメール処理問題

その他個別のメール処理時間には関係しないが、リソースを使い、最終的には時間消費につながる課題についても考慮しておくべきだ。

・バックアップ問題

CCメールの増大によりメールサーバー全体、個別のメールファイルのバックアップも増大していく。CCメールのバックアップは、各人で行う分と、サーバーレベルでシステム管理者が行うことが重複すると、同一のメールが受信人数分保存されることになる。同じ理由で、メール添付されたファイルを個別に及びシステム管理レベルで行うとこれも重複サイズは膨大となる。これらを更にまたファイル全体のバックアップというレベルで行うことになりリソース消費はさらに進む。バックアップの方針設計することも配慮していくべきだ。

・メール移行時の問題

メールの増大は、機器の交換やグレードアップを行う際のメール移行に影響する。数ギガにまで膨らんだメール類は機器変更で移行する際のコピーに、数日を費やすことにもなる。メール処理に時間を使う間、機器が使えなくなるか制限を受けることになる。

 

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メール以前の連絡手段としては、電話して直接話す、伝言する、FAXで送信する、郵便を出す、訪問する、来訪してもらう、どこかの街中であう、だった。メールによって、いずれの手段も使わず、個別に直接情報伝達が可能になった。ブロードバンド普及は初期投資をしてしまえば、連絡費用もほぼかからなくなった。その便利さ、効率から、今のようなメールへの過度な依存がでてきた。どんな新しい方法も、過剰適合という問題が出てくる。どんな場合でも見直しは利用する人間にしかできない。