半蔵門御散歩雑談/ODR Pickups

株式会社ODR Room Network

このブログは、株式会社ODR Room Networkのお客様へのWeekly reportに掲載されている内容をアーカイブしたものです。但し、一部の記事を除きます。ODRについての状況、国際会議の参加報告、ビジネスよもやま話、台湾たまにロードレーサーの話題など、半蔵門やたまプラーザ付近を歩きながら雑談するように。

iPhone 1台、100均だと1000個

iPhone 1台、100均だと1000個【たまプラビジネス余談放談】20211221

 

以前から折に触れてこのブログでも口外しているインフレ推進派の私だが、未だ日本はデフレから抜け出せていない。安い買い物を目指し、100均ショップが賑わい、マスコミのTVは安いものをアピールし、紹介し、「安い!」と賞賛し、安い買い物を競っているように見える。そして、示唆的な記事を目にした。

 

貧しいニッポン(2)iPhoneが高嶺の花に 物価上がらぬ日本、モノもヒトも「買い負け」

business.nikkei.com

 

日本でのシェアも高いiPhone、その価格はどんどん高くなっている。記事を参照すると、10万をとっくに超過しているが、その価格が何日分の賃金に当たるかというデータに注目する。

 

2018 11.28万 8.8日

2019 10.63万 8.4日

2020 10.68万 9.8日

2021 11.16万 10.2日

 

で、日本は10日分を超えている。しかも、他国との比較で見ると、スイス4.4日、米国5.9、豪州6.4、シンガポール7.6、ドイツ9.5で、米国の2倍、スイスの2.31倍で、賃金換算した比率が毎年高くなっている。国内での物価の感覚では安いもの指向だということと合わせて考えると、つまり、収入はあがらないのに、海外からのモノの価格は上がっていること、他国では収入が上がって買うのは楽になっているということか。100均ではiPhoneは売っていない。結果、日本での売れ筋iPhoneは廉価版のiPhone SE 4.98万で全体の4割。11.16万の半分の価格帯、賃金差の2倍の逆で、1/2の価格帯になっている。

 

消費者の購買力が落ちているということは、企業の収益額も落ちているということか。企業で働く人の賃金も落ちるし、企業の購買力も落ちる。

企業が物流で使うコンテナの費用として払える額も値上がりすると払えなくなる。他国の購買力は上がっているので、例えば、今まで、米国から中国に戻る際に大豆を積んで日本に輸入していたコンテナも日本にこれまでの価格2000ドルで貸すより、早く戻して10000ドルの製品を早く運んだ方が儲かるわけで、日本が輸送用のコンテナを買い負けしている。

外タレも呼びにくくなっている。アジアに来るなら中国でコンサートをやった方が収益がいい、日本にはそのついでに立ち寄るだけになってきている。

 

販売価格はその国の購買力に依存する。物価が安いということは、自国の製品を高くは売れない。外部から見ると「買いやすい」が「売りにくい」のだ。

また、割安だった不動産への海外からの投資が殺到し、逆に価格が上昇したが、それについていけない日本国内の買い手は追加投資が続かず先へ進めなくなっているという。ここでも買い負けという状態だ。

 

製品力を高め価格が上昇していくiPhoneをはじめとするインフレ国外製品と、安いモノが売りやすい、安い品質のものに走り過ぎて、賃金も上げられずにいるデフレマーケット日本。生産者も消費者も国家も、安物を追いかけるのではなく、賃金をあげ、良いものに適切なお金を払う、お金を溜め込んで眠らせず投資する、100均には悪いが、10000均、100000均がノーマルになるくらいの市場、消費行動を目指そうじゃないかと思っている。他力本願でなく、自力でね。