半蔵門御散歩雑談/ODR Pickups

株式会社ODR Room Network

このブログは、株式会社ODR Room Networkのお客様へのWeekly reportに掲載されている内容をアーカイブしたものです。但し、一部の記事を除きます。ODRについての状況、国際会議の参加報告、ビジネスよもやま話、台湾たまにロードレーサーの話題など、半蔵門やたまプラーザ付近を歩きながら雑談するように。

BADON(5)

BADON(5)【読書/映画感想】20220204

 

オノナツメ氏の作品「ACCA」のスピンアウトの5巻。首都バードンで、ムショあがりのヤッカラ区出身の4人が始めたベンチャー高級タバコ店。1周年を迎えようとしている。リリーが17歳なのが周知となり、一方、昔の悪仲間がやってきてラズの強盗仲間だった恋人を射殺したのがリリーの父親だったことも明らかになり、ラズは家をでて、タバコの職人になろうとする。分裂気味のベンチャー中年4名と仲間たち、1周年の日にみんなが集まれるのだろうか。

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元犯罪者で服役囚、恋人を射殺された元強盗、闇組織の構成員、詐欺師、さらにまたその経歴以上に複雑な人間関係や過去を抱える人物たちだからこその、悲しいしかし腰の据わった眼差しは、凄みと共に深みを醸し出すからだろうか。魅力的なのだ。そんな目つきの男になりたいものだ。そんな眼差しの爺いになろうと思うが。。しかし、この眼差しはリアルでは単に目つきの悪いだけにもなりかねない。せめて大騒ぎしない、興奮しないで話ができるようになりたい。仮に今冷静に見えているとしたら、それは冷静なのではなく面倒なだけ。

最近の好きな映画の傾向にも似て、マンガもセリフの多くない静かな雰囲気の作品に惹かれている。背景もあまり細々と書き込まれていなくて、なんなら白い部分が多くて、窓の前にいても、会話や見つめ合うシーンではあるはずの窓さえも描かない、そんなタッチが好きになっている。背景色も白一色とか灰色一色とかね。登場人物も細々と描かれていなくていい。文章でいえば行間を読めるような作品がよい。

テーマの一つがタバコなのも面白い行間を作り出している。自分は今はもうタバコは吸わないし、世間的にもタバコは嫌われている。街に出ても禁煙の場所ばかり。喫煙者は肩身が狭い。だからこの話を真似てタバコを吸うようにはならない。だからこその、描かれるタバコのものがたりに、「ないものねだりのあこがれ」が生まれ続ける。やっちゃダメなことへの不良への憧れ的な、ね。「ACCA」 の主人公”もらいタバコのジーン”は、ヒーローでないヒーローで、心はいつも彼のようでありたいと思っている。

 

最後の一コマ。終活で身の回りの気に入ったものをガレージセールで処分する女性の最後のセリフ

「楽しんだもの勝ちだよ」

そうだよ、そうなんだけどさ。そうあろうと思うんだけどさ。